平成20年4月より特定健康診査・特定保健指導が導入され、生活習慣病対策を充実・強化することの必要性が高まっています。制度自体は6年ごとの見直しを行っており、令和6年から開始される第4期ではプログラム内容の改訂が計画されています。これまで以上にプロセスよりもアウトカムに重きを置く改訂となっており、これまでのプロセス指標に加えてアウトカム指標も重要視されてきています。さらにアウトカム指標の中に、これまでの指導の中心であった運動・食事・喫煙・飲酒などの項目に加えて休養習慣の項目も追加されています。2004年にアメリカのスタンフォード大学が行った食欲をうながすホルモン「グレリン」と食欲を抑制するホルモン「レプチン」の睡眠時間の分泌量における調査では、5時間しか寝ていない人は8時間寝た人と比較して 「グレリン」の分泌量が15%多くなる一方で、「レプチン」の分泌量は15%少なく、食欲を感じやすいことが明らかになっています。さらに睡眠不足により、基礎代謝を上げる成長ホルモンの分泌が減ることにより、消費エネルギーが低下し、太りやすく痩せにくい体質に変化していくことがわかっています。また糖尿病リスクとも関連しており、食事・運動と合わせて指導していくことが非常に重要です。さらに睡眠が十分に取れていないとメンタル疾患のリスクが高まるという報告もあるので、睡眠を整えることでダイエット以外の効果を望まれます。これまでの食事指導では多少の我慢が必要だったり、運動指導も運動習慣がない方にとってはハードルが高いものでしたが、睡眠については寝る時間を増やすだけで効果が得られやすいため、対象者の方の行動変化も起きやすいメリットがあります。本セミナーではこれまで睡眠に関して情報発信をしてきたNTTPARAVITAが「特定保健指導における睡眠指導の取り入れ方」をテーマにご説明します。