企業の実データから睡眠とこころの健康の関係を探り、将来の無作為化比較試験と職場での活用につなげるNTT PARAVITA株式会社(以下、NTT PARAVITA)と筑波大学 高等研究院(TIAR)・国際統合睡眠医科学研究機構(WPI-IIIS、以下「筑波大学WPI-IIIS」。機構長:柳沢 正史)は、働く人の睡眠とメンタルヘルスの関係を検討する共同研究契約を締結しました。本共同研究では、NTT PARAVITAが保有する働く人の睡眠・メンタルヘルス・カウンセリングに関する既存データから、指標の関連や実施前後の変化を幅広く調べます。睡眠を起点とした早期支援の可能性を検討し、得られた知見を将来の無作為化比較試験(RCT)の計画に生かします。企業・健康保険組合・産業保健スタッフが活用できる支援の科学的な基盤づくりをめざします。1.共同研究の背景メンタルヘルス不調は、従業員本人だけでなく、休職・離職・生産性低下など企業経営にも影響する重要な課題です。一方、現行の対策は不調が明らかになった後の対応が中心であり、早期に兆候を把握して支援する仕組みが求められています。睡眠は、こころの健康状態やストレス、日中の活動や集中力(日中機能)と互いに影響し合っています。筑波大学WPI-IIISとNTT PARAVITAは、睡眠をメンタルヘルス不調の早期発見・早期支援の起点と位置づけ、企業の実データを用いてその可能性を科学的に検討します。2.共同研究の概要研究題目睡眠データおよび関連指標を用いた職域メンタルヘルス不調の評価可能性に関する研究―後ろ向きコホート研究から無作為化比較試験を見据えた前向き研究に向けて―研究期間2026年8月1日~2027年3月31日(予定)研究代表者筑波大学 高等研究院(TIAR)・国際統合睡眠医科学研究機構(WPI-IIIS)医学医療系 准教授 中島 俊研究内容① 睡眠・メンタルヘルス関連指標の整理・分析② カウンセリング実施前後の睡眠・メンタルヘルス・労働生産性等の変化の探索的分析③ デバイスで測定した睡眠データ等の探索的分析④ 将来のRCTに向けた研究デザインの検討3.両者の役割筑波大学 国際統合睡眠医科学研究機構NTT PARAVITA研究デザイン・研究倫理管理データ解析・結果の解釈研究成果の取りまとめ将来のRCT設計既存データの整理・提供直接識別情報の削除・符号化研究用IDと対応表の管理職場での社会実装の検討4.本共同研究が目指すもの本共同研究は、「睡眠が大切」という重要性を伝えるだけでなく、睡眠の変化を早期に把握し、不調が深刻化する前に支援を届ける仕組みの確立をめざします。メンタルヘルス不調が明らかになってから対応する取り組みから、睡眠を起点として早期に気づき、支援する取り組みへ。筑波大学WPI-IIISとNTT PARAVITAは、睡眠科学と職場の実践データを組み合わせ、企業・健康保険組合・産業保健スタッフが職場で活用できる新たなメンタルヘルス対策の確立をめざします。5.コメント筑波大学 高等研究院(TIAR)・国際統合睡眠医科学研究機構(WPI-IIIS)/医学医療系准教授 中島 俊企業の現場で得られたデータを丁寧に解析し、働く人の睡眠指標とメンタルヘルス関連指標の関係や、カウンセリング実施前後の変化を探索的に検討します。その結果をもとに、将来的には無作為化比較試験を設計し、働く人への心理支援の有効性を検証したうえで、科学的根拠に基づく支援の社会実装を目指します。NTT PARAVITA株式会社 代表取締役社長 岡本 卓睡眠は、心身の変化に早く気づき、本人が受け入れやすい支援を届けるための重要な起点です。本共同研究を通じて、企業・健康保険組合・産業保健スタッフが睡眠をメンタルヘルス不調予防に活用できる環境づくりを進めます。6.研究倫理および個人情報の取り扱い本研究は、既に取得された情報のみを用いる後ろ向き研究です。筑波大学医学医療系 医の倫理委員会の承認のもと行われます。研究に用いる情報は、承認された研究計画書に従い、適切な安全管理措置を講じて取り扱います。NTT PARAVITAから筑波大学へ提供する情報には、個人を特定できる情報は含まれません。研究の目的、利用する情報の項目、研究への利用を希望しない場合の申出方法等については、筑波大学WPI-IIIS中島研究室およびNTT PARAVITAのウェブサイトで公開する予定です。※本研究は過去に記録されたデータを用いる研究であり、特定の支援や介入の効果を確定するものではありません。7.用語解説無作為化比較試験(RCT)参加者を無作為に複数のグループに分け、支援を受けるグループと、受けない、または別の支援を受けるグループの経過を比較する研究です。グループ間の偏りを抑え、支援の効果を検証します。後ろ向き研究過去に記録されたデータを使い、新たな介入を行わずに、睡眠の状態とメンタルヘルスなどの関係を調べる研究です。関連が見つかっても、それだけで原因と結果の関係を確定することはできません。探索的分析データにどのような関連や変化があるかを幅広く調べる分析です。結果は次の研究で確かめる仮説づくりに用い、確定的な結論とはしません。8.本件に関するお問い合わせ先筑波大学 高等研究院(TIAR)国際統合睡眠医科学研究機構(WPI-IIIS)広報担当E-mail:wpi-iiis-alliance@ml.cc.tsukuba.ac.jpNTT PARAVITA株式会社広報担当槇林E-mail:promo@nttparavita.com