柳沢正史教授監修・自宅で取り組める睡眠改善サービス「SOMNO+」はこちら関連記事:睡眠を改善しませんか?質の高い眠りを手に入れる方法3分でできる!睡眠の質を知るためのセルフチェック自分の睡眠状況を簡単にチェックできる方法に「アテネ不眠尺度」があります。アテネ不眠尺度は、世界保健機関(WHO)が作成した世界共通の睡眠に関する評価方法で、8つの質問で構成されています。さっそくアテネ不眠尺度による睡眠セルフチェックを行ってみましょう。最近1ヶ月の間に、週3回以上当てはまる項目を選んでください。選んだ項目の点数を合計しましょう。質問解答1.寝床についてから実際に眠りにつくまで、時間がかかりましたか?・いつもより寝つきは良い(0点)2.夜間、睡眠の途中で目が覚めましたか?・問題になるほどのことはなかった(0点)3.希望する起床時間より早く目覚めて、それ以降眠れないことはありますか?・そのようなことはなかった(0点)4.夜の眠りや昼寝も合わせて、睡眠時間は足りていますか?・十分である(0点)5.全体的な睡眠の質について、どう感じていますか?・満足している(0点)6.日中の気分はいかがでしたか?・いつもどおり(0点)7.日中の身体的および精神的な活動の状態はいかがでしたか?・いつもどおり(0点)8.日中の眠気はありましたか?・全くない(0点)合計点数による判定は次のとおりです。3点以下:睡眠が取れている4~5点:不眠症の疑いが少しある6点以上:不眠症の可能性が高い6点以上の場合は、産業医に相談したり睡眠外来を受診したりするなど、受診が必要です。5点以下であっても、眠りについて気になることがある場合は、早めに専門家へ相談しましょう。チェックシートから分かる睡眠トラブルアテネ不眠尺度では、チェックの入った項目により、不眠のタイプや睡眠の質などを知ることができます。3つのポイントに分けて確認しましょう。不眠のタイプアテネ不眠尺度のなかで、質問1~4に点数が入った場合は、不眠症の傾向があるでしょう。点数が入った項目により、不眠のタイプが分かります。不眠症は、以下の4つのタイプがあります。入眠障害:布団に入ってもなかなか寝つけない中途覚醒:寝ている間に何度も目が覚めてしまう早朝覚醒:本来の起床時間より2時間以上早く目が覚めて、以降眠れなくなる熟眠障害:眠りが浅く、ぐっすり眠った気がしない睡眠時間の過不足アテネ不眠尺度から、睡眠時間の過不足も予測可能です。不眠の傾向がある場合、全体的な睡眠時間が不足している可能性があります。布団やベッドで横になっていても、実際に睡眠していた時間が短いと、睡眠効率が低く、眠りの質が悪いことが分かります。睡眠効率は「実際に睡眠した時間÷布団やベッドで横になっていた時間」で求められ、合格とされる目安は85%以上です。睡眠の質の良し悪しアテネ不眠尺度では、睡眠の質の良し悪しも判断できます。質問表の前半に高い点数が入らなくても、質問6〜8に点数が入った場合は、睡眠の質が悪い可能性があるでしょう。十分な睡眠時間を確保していても、日中に眠気が生じたり、作業がはかどらなかったりする場合、何らかの影響で深い睡眠が得られず、心身が休息できていないのかもしれません。自分に合った睡眠時間の見つけ方良い睡眠のために、まず自分に合った睡眠時間を見つけましょう。必要な睡眠時間の調べ方や、睡眠時間で注意する点について解説します。必要な睡眠時間を自分で調べるには自分にとって必要な睡眠時間は、以下の手順で調べることができます。就寝と起床の時間を、毎日同じ時刻に設定して1週間過ごしましょう。その間、日中の眠気・集中力や判断力の低下・気分の落ち込みなど、毎日の体調を確認します。1週間過ごした後、設定した睡眠時間で日中の眠気などのトラブルが生じなければ、その睡眠時間が適正となるため、そのまま継続しましょう。眠気が生じたり、気分が不安定になったりすることがあれば、設定した睡眠時間より毎日30分長く眠るようにして、再び1週間過ごしてください。日中の眠気や気分不安定などのトラブルが起こらなくなるまで、1と2をくり返すうちに、自分にとって必要な睡眠時間が分かります。世代によって理想の睡眠時間は異なる健康に良いとされる理想の睡眠時間は、世代によって異なります。米国の国立睡眠財団が定めた、世代別の推奨睡眠時間は次のとおりです。幼児:11時間~14時間小学生:9時間~12時間中高生:8時間~10時間成人(18歳~64歳):7時間~9時間高齢者(65歳以上):7時間~8時間必要な睡眠時間は、子どもは長く、年齢を重ねるにつれて短くなる傾向があります。適正な睡眠時間には個人差がある推奨される睡眠時間はありますが、日中に心身のトラブルがなく過ごせる睡眠時間は、一人ひとり異なります。6時間未満の短時間睡眠でも問題なく過ごせるショートスリーパーの人もいれば、10時間以上の睡眠が必要なロングスリーパーの人もいるのです。十分な睡眠時間は必要ですが、時間の長短にこだわりすぎないようにしましょう。睡眠の質を左右する3つの要因良い睡眠をとるためには、睡眠の質も重要です。睡眠の質が低下すると、脳が十分に休息できず、認知力や判断力が低下しやすくなります。睡眠の質に影響する要因について、3つのポイントに分けてみていきましょう。寝室の環境寝室の気温・光・音は、睡眠の質に影響します。室温が暑すぎたり寒すぎたりすると寝心地が悪くなり、入眠までに時間がかかったり、途中で目が覚めたりする原因になるでしょう。寝室の照明が明るすぎると、睡眠ホルモンの分泌量が減るため、睡眠の質が下がります。また、40dB以上の音が寝室に入ると、神経が興奮してしまい、寝つきが悪くなることが分かっています。生活習慣生活習慣も睡眠の質に影響を与えます。食事の時間が不規則だったり、シフト制勤務で就寝時間がバラバラだったりすると、睡眠をコントロールする体内時計が乱れてしまいます。タバコ・飲酒・スマートフォンの操作など、寝る前に行う習慣によって、睡眠の質が下がることが分かっています。睡眠を妨げる病気睡眠時無呼吸症候群やレストレスレッグス症候群など、睡眠を妨げる病気がかかわっていることも。これらの病気による症状で眠りが浅くなり、日中に強い眠気が起こりやすくなるのです。さらに、睡眠時無呼吸症候群は、睡眠不足に陥ることで、高血圧や糖尿病のリスクが上昇することも分かっています。睡眠を妨げる病気が疑われる場合は、医療機関を受診しましょう。良質な睡眠を手に入れる7つの方法質の高い睡眠を得るために、行ってほしい習慣を7つ紹介します。取り入れやすいものから始めてみましょう。朝の過ごし方を見直す睡眠リズムを整えるために、朝の過ごし方を見直しましょう。平日・休日にかかわらず起床時間を同じにすると、睡眠リズムが乱れにくくなります。朝起きたらすぐに、太陽の光を浴びると良いです。体内時計がリセットされて、夜に睡眠ホルモンをきちんと分泌するための準備が始まります。起床後2時間以内に朝食をとると、体温が上昇することで目覚めがスッキリして、体内時計の調整を助けるのです。日中の運動量や活動量を増やす日中の運動量や活動量を増やすと、良質な睡眠につながります。昼間に仕事や作業で体や脳を使うと、疲れを回復させるために睡眠の必要性が高まり、寝つきが良くなるのです。ウォーキングや軽いジョギングなど、適度な運動習慣があると、深い眠りが得られることが分かっています。ただし、就寝3時間以内に運動をおこなうと、神経が興奮してしまい、かえって寝つきが悪くなるため注意しましょう。就寝2時間前の食事は控える寝る直前に食事をとるのは控えましょう。就寝2時間以内に食事をとると、寝る時間になっても食べ物の消化活動が続いて、胃腸や神経が働き続けるため、睡眠の質が下がります。夕食が遅い時間になりそうなときは「分食」がおすすめです。夕方(17時~18時ごろ)に炭水化物中心の軽食をとり、帰宅後にタンパク質や野菜中心のメニューを軽くとると良いでしょう。寝る前のアルコールやタバコを控える寝る前の飲酒やタバコは、睡眠の質を下げることが分かっています。タバコに含まれるニコチンには覚醒作用があり、寝つきを妨げたり、深い睡眠が少なくなったりして睡眠不足になりやすいです。アルコールは寝つきを良くするものの、睡眠後半になると眠りが浅くなり、中途覚醒を起こしやすくなるのです。自分に合ったリラックス方法を見つける日中のストレスが解消できず、就寝時間になっても神経が高ぶったままだと、寝つきが悪く、睡眠の質が下がります。寝る前に、リラックスする時間を設けて、休息時に働く副交感神経を優位にすることが大切です。好きな香りを楽しんだり、ヒーリング音楽を聞いたりするなど、自分に合った方法を行いましょう。寝室の照明に気を配る寝室の照明に気を配ると、質の高い睡眠につながります。睡眠中に光を浴びると、気分の落ち込み・糖尿病・動脈硬化になりやすいことが調査報告されています。目を閉じていても、寝室の照明やテレビ画面の光は、わずかながら通り過ぎてしまうため、睡眠中の心拍数や血糖値に悪影響を及ぼすことが示されています。寝室でテレビやスマートフォンを使用するのは控えましょう。睡眠中は、照明を完全に消す・アイマスクをつけるなど、光をしっかり遮って眠ることがおすすめです。光を遮って眠ると、翌日の記憶力や注意力が向上するという研究結果もあります。就寝時の室温を適正に保つ就寝時の室温は、寝ている間の体温調節にかかわるため、睡眠の質を左右します。人間の体は、寝る前から睡眠前半に深部体温が下がり、起床時間が近づくにつれて、だんだん上昇します。就寝時の室温が適切でないと、深部体温を下げるための調整がうまくいかず、寝苦しくなってしまうのです。おすすめする寝室の室温は、夏は26度前後、冬は18度以上。エアコンの設定温度ではなく、実際の室温がこの温度になるように調整しましょう。放熱のしやすさには、室温のみならず、湿度もかかわっています。湿度は季節を問わず、50%〜60%が良いです。関連記事:質の高い眠りをサポート!睡眠を深くする7つの方法 睡眠の質を定期的にチェックしよう!トラブルがあるときは専門家へ相談を良い睡眠が取れると、脳や体の働きが良くなり、日中のパフォーマンス向上につながります。アテネ不眠尺度など、信頼性の高いセルフチェックを定期的に行って、睡眠の質を確認しましょう。睡眠トラブルが見つかったときは、早めの対策が肝心です。NTT PARAVITA「ねむりの応援団」では、従業員の睡眠改善をサポートする法人向けサービスを提供しています。ねむりのパーソナルトレーナーが個人に合ったアドバイスを行い、睡眠状況が改善するまで伴走するプログラムがあります。従業員が睡眠に満足していなかったり、日中の眠気などで困ったりしているときは、専門家によるサポートの利用を検討しましょう。参考資料:すぐにわかる「ねむりの応援団」3点セット