柳沢正史教授監修・自宅で取り組める睡眠改善サービス「SOMNO+」はこちら関連記事:【スリープテック入門】企業が知るべき基礎と導入メリット 睡眠計測の仕組み睡眠計測は、心拍数や体の動きを計測・分析して、睡眠の状態を目に見える形で分かるようにしたものです。データの計測・分析には、デバイスに搭載された光学式心拍計や加速度センサーなどを使用しています。光学式心拍計は、心拍計から皮膚に向けて緑色のLED光を当てて、反射して戻ってくる光の量を検出することで、心拍数を測定します。加速度センサーは、どの方向へどのくらいの速さで移動したかを3次元で計測することで、体の動きを分析するのです。睡眠計測するとわかること睡眠計測によって分かることは、睡眠時間・睡眠効率・心拍数や呼吸数・いびきの有無の4つです。それぞれのポイントに分けて確認しましょう。睡眠時間睡眠計測を行うと、体の動きや心拍数から、就寝・起床時間が分かります。寝ている間は、寝返り以外の体の動きが少なくなり、起きている時間と比べて心拍数も減少する傾向があるためです。そのため、トイレなどで途中で目が覚めた時間帯も分かります。睡眠効率計測によって、布団に入っていた時間に対する、実際の睡眠時間の割合を示した「睡眠効率」が分かります。体の動きや心拍数を分析すると、眠りの深さをおおよそ判別することができます。ベッドに横になってもなかなか寝つけなかったり、予定より早く目が覚めても再び眠れなかったりする状態を知ることが可能です。心拍数・呼吸数睡眠計測では、一晩を通じて、心拍数と呼吸数が記録されます。一般的に、心拍数も呼吸数も、起きている時間と比べて睡眠中は少なくなります。通常より心拍数や呼吸数が多すぎたり少なすぎたりするときは、ストレス・生活習慣・病気などによる問題が隠れている可能性があるでしょう。いびきの有無計測を行うデバイスによっては、いびきを録音できるものがあります。いびきの時間や回数が分かるため、頻繁にいびきをかく場合は、枕の高さや生活習慣を見直すきっかけにできるでしょう。また、睡眠時無呼吸症候群の可能性があるかどうか、医療機関を受診するときのデータとして利用することも可能です。睡眠計測する3つのメリット睡眠計測すると、これまで気づかなかった睡眠状況や体調について知ることができます。どのようなメリットがあるか、具体的に確認しましょう。睡眠状況を目に見える形で把握できる睡眠を計測すると、就寝や起床の時間だけではなく、睡眠の質までデータ化して見ることが可能です。一人ひとりの感じ方ではなく、客観的に睡眠状況を把握できます。客観的に見ることで、質の高い睡眠をとるための動機づけになるでしょう。睡眠トラブルの有無を確認できる計測によって、眠りの深さや、途中で目が覚めた時間なども分かります。眠りが浅くなっているという自覚症状が無くても、データを確認することで、睡眠の質が落ちていることや、睡眠トラブルの有無を知ることができるのです。睡眠を通じて健康管理ができる計測を行うと、睡眠状況を見える化することで、睡眠に対する意識が変わるでしょう。良質な睡眠をとるために、生活習慣を見直すと、運動する習慣を作ったり、ストレス対策を行ったりするなど、睡眠以外の健康管理にも役立つのです。睡眠計測デバイスの主な種類睡眠計測のデバイスはさまざまありますが、よく使用されるマットタイプ・リストバンドタイプ・スマートフォンアプリの3種類について、計測できることやメリットなどを解説します。マットタイプマットタイプは、布団やマットレスの下にデバイスを設置して使用します。体に直接つけたり、そばに置いて使用したりする必要がないため、寝ている間は気にならずに計測可能です。搭載されたセンサーにかかる圧力などから、体の動き・心拍数・呼吸数を測定します。デバイスとスマートフォンを連動させて、計測データを確認したり保存できたりする製品もあります。従業員向け睡眠改善サポートを行っている、NTT PARAVITA「ねむりの応援団」では、睡眠計測デバイスにマットタイプを採用。計測したデータをもとに、ねむりのパーソナルトレーナーが悩みに応じたアドバイスを行い、従業員の睡眠が改善するまで伴走するサービスを提供しています。参考資料:すぐにわかる「ねむりの応援団」3点セットリストバンドタイプリストバンドタイプは、手首にデバイスを装着して使用します。スマートウォッチに睡眠計測機能が付いていることが多いでしょう。加速度センサーと光学式心拍計が搭載され、体の動きと心拍数を計測します。製品によっては、血中酸素飽和度も分かるため、睡眠時無呼吸症候群のリスクがあるか推測可能です。スマートフォンアプリスマートフォンアプリで、睡眠計測できるものがあり、スマートフォン本体を枕元に置いて使用します。搭載されている加速度センサーとマイクを利用して、体の動き・呼吸数・いびき音を計測。スマートフォン本体をできるだけ体の近くに置いて眠る必要があり、置き方によっては正しい計測が行われないこともあります。睡眠計測を通じて質の高い眠りを手に入れる方法睡眠計測で得られたデータを生かして、睡眠の質を高める方法を、大きく3つのポイントに分けて紹介します。睡眠環境を整える寝つきが悪かったり、途中で目が覚めたりするときは、寝室の環境が一因となっているかもしれません。寝室で、照明やテレビ・スマホ画面からの光を浴びると、睡眠をコントロールするホルモン「メラトニン」の分泌を妨げることが分かっています。寝るときは照明を消し、テレビやスマホの使用は控えましょう。室温は、季節に応じて13度〜29度の範囲で調整すると、心地よい睡眠が得られます。ただし、高血圧症の人は、冬場は血圧上昇を防ぐため、室温を18度以上に調節すると良いでしょう。生活習慣を見直す深い睡眠が得られないなど、睡眠の質が悪いときは、日ごろの生活習慣を見直すことをおすすめします。就寝2時間以内に食事をとると、寝ている間も食べ物の消化で胃腸が働き続けるため、睡眠の質が下がります。夕食が遅くなるときは、軽めのメニューを心がけましょう。寝る前のカフェインやタバコは、覚醒作用により寝つきが悪くなるため、控えてください。夜間のスマホ操作は、睡眠ホルモンの分泌を抑えてしまい、寝つきが悪くなるため、就寝1時間前から操作を行わないようにしましょう。入眠しやすくなる習慣を作る睡眠計測の結果がそれほど悪くなくても、睡眠の質をさらに高めるため、自然な眠りへ導く習慣を作ると良いでしょう。起床後すぐに朝日を浴びると、体内時計が調整されて、睡眠リズムが整うようになります。日中は、さまざまな活動に参加したり、適度に体を動かしたりすると、疲れを取るために睡眠欲求が高まり、深い眠りを得やすくなります。就寝2時間前までに入浴を済ませると、眠りを誘う体温に調節できるため、寝つきが改善するのです。睡眠計測して自分の眠りを可視化。健康づくりのきっかけにしよう!睡眠計測を行うと、心拍数や体の動きから、睡眠の様子を目に見える形で把握することができます。客観的なデータが得られるため、自分では気づいていない睡眠トラブルや疾患のリスクを知り、改善に向けた意識改革ができるでしょう。睡眠を改善するために、さまざまな生活習慣の見直しを行うと、全身の健康増進にもつながるのです。健康づくりのきっかけに、睡眠計測を行い、自分の眠りをデータ化して、質の高い睡眠がとれているかチェックしましょう。関連記事:睡眠グラフの悪い例とは?特徴や改善する方法を解説