柳沢正史教授監修・自宅で取り組める睡眠改善サービス「SOMNO+」はこちら睡眠グラフとは?計測してわかること睡眠グラフは、睡眠中の動き・呼吸数・心拍数などを計測したデータから、どのくらい眠れているかを可視化したものです。睡眠の状況をグラフにすることで、以下の情報が分かります。総睡眠時間寝付くまでにかかった時間途中で目覚めた回数睡眠効率睡眠効率とは、睡眠の質の良し悪しを判断するもので「実際に睡眠した時間÷布団やベッドにいた時間」で求められます。得られた睡眠グラフから、質の高い睡眠がとれているか判断したり、睡眠トラブルのリスクがあるかを判断したりすることが可能です。関連記事:コア睡眠とは?理想的な時間と向上させるメリットを解説 睡眠グラフの悪い例 3つの特徴睡眠グラフを見ると、どのような睡眠トラブルを抱えているのか、判断することが可能です。睡眠の質が低下しているときの、睡眠グラフの悪い例を3つ確認していきましょう。寝付くまでの時間が長い睡眠グラフの計測は、布団やベッドに入った時点で始まります。計測が始まってから、睡眠に入るまでの時間が長い場合、寝付きが悪い可能性も。寝付きが悪いと睡眠の質が下がり、翌日に疲れが残ったり、仕事の効率が悪くなったりする原因になるのです。就寝前の生活習慣や何らかの疾患によって、寝付きが妨げられることが考えられるでしょう。途中で目が覚めている睡眠の途中で、目が覚めてしまった状態も、睡眠グラフで計測されています。夜中にトイレで起きても、その後すぐに眠れていれば心配は不要でしょう。しかし、一度起きてそのまま眠れなくなったり、記憶に残らない程度の短い覚醒がくり返されたりするときは注意が必要です。睡眠によって十分な休養がとれないため、日中のパフォーマンスに影響が出る可能性があります。総睡眠時間が足りていない寝付きや中途覚醒などのトラブルがなくても、計測した睡眠時間が全体的に短いと、睡眠不足と言えるでしょう。また、睡眠グラフから睡眠効率も読み取れ、布団やベッドにいても、実際に睡眠状態にあった時間が少ないと、睡眠量が足りていないと判断できます。また、記録上で深いノンレム睡眠とレム睡眠が出現していても、持続時間が短く合計量も少ないと睡眠の質は「良い」とは言えません。睡眠不足が続くと、注意力やコミュニケーション力といった短期的なものだけではなく、将来的には心臓病や脳卒中などのリスクが上昇することが指摘されているのです。睡眠グラフが悪い原因と健康への影響睡眠グラフが悪い状態を放置しておくと、健康にも悪い影響が出るため早めの対策が必要です。ここでは睡眠グラフが悪い原因と健康へどういった影響が出るかについて、それぞれ確認しましょう。睡眠グラフが悪くなる原因睡眠グラフが悪くなる原因は、以下の3つが挙げられます。不摂生をしている食事の時間がバラバラ・運動不足・夜更かしや寝だめといった不摂生な生活は、睡眠に影響します。不摂生な生活をしていると、体内時計のリズムを乱してしまい、寝付きが悪くなったり、目覚めが悪くなったりするのです。ストレスが溜まっているストレスが溜まっていると、睡眠グラフが悪くなるでしょう。ストレスを解消できないと、寝る前になっても交感神経が興奮した状態が続くため、寝付きが悪くなったり、心身を休息させる深い睡眠が減ったりします。睡眠環境が悪い寝るときの環境も、睡眠に影響を与えます。寝室に入る光や周りの音が気になると、寝付きが悪くなるでしょう。室温や湿度の調整ができないと、寝苦しさを感じ、睡眠途中で目が覚める原因につながります。睡眠グラフが悪いときの健康への影響睡眠グラフが悪い状態になると、健康への影響は主に3つあります。1つずつ確認しましょう。集中力が低下する睡眠トラブルがあると、脳が十分に休息できないため、日中の集中力や判断力が低下します。さらに、1日あたり6時間以下の睡眠が続くと、2晩徹夜したのと同じ認知能力まで低下するという研究報告も。集中力や認知力が低下することで、ミスが増えて仕事の効率が落ちたり、作業現場などで事故が増えたりすることにつながるでしょう。メンタルの不調になりやすい睡眠で休養感が少ない人は、抑うつ症状が現れやすいといわれています。睡眠不足によるストレスが長続きすると、ストレスホルモンの「コルチゾール」の分泌が乱れて、うつ病のリスクが上昇します。4時間睡眠が5日間ほど続くと、脳がネガティブな感情に対して敏感に反応するという研究報告もあるのです。気分が不安定になると、仕事への意欲が低下したり、職場でのコミュニケーションに問題が発生したりする可能性が高くなるでしょう。生活習慣病のリスクが増加する睡眠の質が下がると、生活習慣病のリスクを上昇させたり、症状を悪化させたりします。慢性的に睡眠の質が悪いと、食欲にかかわるホルモンの分泌の乱れや、自律神経の機能低下が生じることが分かっているのです。生活習慣病は、将来的に心筋梗塞・脳血管疾患など重大な病気のリスクにつながり、生命の危機にさらされるかもしれません。自分の睡眠グラフが悪い例かどうかチェックする方法自分の睡眠グラフが悪い例かどうかをチェックするには、睡眠時の心拍や呼吸などを計測できる端末が必要です。睡眠を計測できる端末の主なタイプを3つ紹介します。睡眠アプリを利用する睡眠アプリは、スマートフォンに内蔵されている、加速度センサーやマイク機能を利用して、睡眠状況を計測しています。加速度センサーは、動きの方向や速さを感知する装置です。睡眠中の寝返りなど、体の動きを計測して、眠りの深さを予測しています。マイク機能では、いびきや歯ぎしりの音を録音し、睡眠の質を判定しているのです。睡眠アプリを使用するときは、体の動きを計測するため、スマートフォン本体を枕元に置いて寝る必要があります。ウェアラブルデバイスを利用するウェアラブルデバイスとは、体の一部に装着して使用する機器のことです。睡眠計測には、腕時計型の機器が多く販売されています。一部のスマートウォッチにおいても、睡眠を計測することが可能です。ウェアラブルデバイスでは、加速度センサーと光学式心拍計を使用して、睡眠の深さや質を判定しています。スマートフォンと連携できる製品では、より詳しいデータ管理ができます。寝具型センサーを利用する寝具型センサーでは、マットや枕に計測センサーが内蔵されています。睡眠アプリやウェアラブルデバイスと異なり、機器を体の近くに置いたり身につけたりする必要がないため、普段どおりに眠ることが可能です。寝具型センサーでは、心拍数・呼吸数・体の動きなどを計測しています。NTT PARAVITAが提供する「ねむりの応援団」においても、睡眠計測に寝具型センサーを採用。利用者専用のスマートフォンアプリと連携して、睡眠時間や睡眠効率を可視化することができます。参考資料:すぐにわかる「ねむりの応援団」3点セット睡眠グラフを改善するための7つの対策睡眠の質を改善するために、日ごろの生活習慣で対策できることを7つ紹介します。行動に移しやすいものから始めてみましょう。朝起きたら太陽の光を浴びる朝目覚めてから午前中の間は、太陽の光を浴びるようにしましょう。特に、起床後1時間以内に日光浴を行うと、睡眠の質をアップさせるのに効果的です。太陽の光の刺激には、体内時計をリセットする働きがあります。体内時計は、睡眠やホルモン分泌などをコントロールしています。ヒトの場合、約25時間のサイクルであるため、毎日調整を行わないと、寝付きのタイミングがだんだん遅くなってしまうのです。寝付きが悪くなると、睡眠の質が下がるため、朝起きたら日光を浴びて体内時計を整えましょう。関連記事:朝日を浴びる6つの効果!睡眠の質を最大限に高める日光浴のポイント適度な運動習慣を持つ国内外の調査で、日常的に運動習慣のある人は、睡眠トラブルが少ないことが分かっています。運動の種類は、ウォーキング・ジョギング・水泳などの有酸素運動がおすすめです。運動によって日中の活動量が増えることで、睡眠欲求が高まり、自然な眠りを誘うようになります。運動をするタイミングも大切です。夕方から就寝3時間前までに行うと、質の高い睡眠につながるといわれています。寝る直前の運動は、体が興奮してしまい、かえって寝付きを悪くするため注意しましょう。食事の内容や時間に気をつける睡眠ホルモン「メラトニン」の分泌を安定させるために、朝食にトリプトファンを積極的に摂ると良いでしょう。トリプトファンは、メラトニンを作る素となる「セロトニン」の材料です。乳製品・卵・大豆製品・バナナに多く含まれています。さらに、夕食の時間帯にも気を配りましょう。就寝3時間前までに食事を済ませると良いです。就寝時間近くに食事を摂ると、寝ている間も食べ物の消化活動が続くため、睡眠の質が下がることが分かっています。就寝の2〜3時間前に入浴する就寝2~3時間前に入浴を済ませて、体温をコントロールすると寝付きが良くなり、質の高い睡眠につながります。ヒトは、日中の活動時は体温が高く、就寝時間が近づくにつれて体温が下がり、眠りを誘うようになります。入浴を活用して体温を上げておくことで、効率よく体温を下げることができるのです。また、入浴時のお湯の温度は、高すぎると交感神経が高まり寝付きが悪くなるため、38度〜40度のぬるめに設定しましょう。睡眠環境を整える寝室の光や温度などの環境も、睡眠の質に影響します。照明の強い光が直接目に入ると、睡眠ホルモンの分泌が抑えられてしまい、寝付きが悪くなります。間接照明にする・30ルクス以下の明るさに抑えるなどの対策をとりましょう。寝室の温度が、暑すぎたり寒すぎたりすると、途中で目が覚める原因になります。季節によりますが、室温は13度〜29度の間に設定すると良いです。関連記事:正しく認識!寝床=眠る場所夜はスマートフォンやパソコンの使用を控えるスマートフォンやパソコンから発せられるブルーライトは、夜に浴びると睡眠ホルモンの分泌を抑えてしまい、体内時計を乱してしまうことが分かっています。睡眠ホルモンの分泌が抑えられると、寝付きが悪くなったり、途中で目が覚めたりする原因に。少なくとも就寝1時間前から、スマートフォンやパソコンの使用を控えましょう。寝る前にリラックスする音楽を聴く寝る前に、ヒーリング音楽を聴いて、リラックスする時間を作りましょう。ヒーリング音楽は、川のせせらぎや鳥のさえずりなどの自然界の音やオルゴールの音がおすすめです。自然界の音やオルゴール音には、副交感神経を刺激する周波数の音が多く含まれることが分かっています。副交感神経の働きが高まると、心身ともにリラックス状態に導かれるため、寝付きが改善することが期待できるでしょう。関連記事:睡眠をサポート!自律神経を整えるのに効果的な音楽メドレー4選睡眠グラフを改善し、質の高い睡眠を目指そう睡眠グラフは、呼吸数や心拍数などのデータを計測することで、質の高い睡眠がとれているか、目に見える形で知ることが可能です。睡眠グラフが悪い例には、寝付くまでの時間がかかったり、途中で目が覚めてしまったりすることが挙げられます。睡眠状況の計測は、スマートフォンアプリ・ウェアラブルデバイス・寝具型センサーなどさまざまあるため、使い勝手の良いものを選びましょう。睡眠グラフを改善するには、起床後に日光を浴びる・運動や食事の時間帯に気をつける・夜にスマートフォンやパソコンの操作をしないなど、生活習慣の見直しが必要です。今回紹介した改善ポイントで、取り組みやすいものから始めてみましょう。参考資料:スリープテックを活用した健康経営の進め方