柳沢正史教授監修・自宅で取り組める睡眠改善サービス「SOMNO+」はこちら関連記事:睡眠をサポート!自律神経を整えるのに効果的な音楽メドレー4選寝る時に選びたいクラシック音楽の特徴クラシック音楽は、穏やかな曲やアップテンポの曲など、さまざまなタイプがあります。なかでも、睡眠前に聴くのにふさわしいクラシック音楽の特徴を見ていきましょう。歌詞が入っていない曲睡眠前は、歌詞の入っていない曲を選びましょう。歌詞がある楽曲の場合、歌詞が耳に入ると、気づかないうちに言葉の意味を考えてしまい、脳が覚醒してしまいます。脳が目覚めてしまうと、寝つきが悪くなる原因になるのです。睡眠前は、楽器のみで演奏されたクラシック音楽を聴くことをおすすめします。ゆったりとしたメロディーの曲穏やかな一定のリズムでくり返される楽曲は、脳をリラックスさせてα波を引き出しやすいといわれています。アップテンポの曲や激しい曲は、かえって気分が高まって興奮してしまうため避けた方が良いでしょう。クラシック音楽のなかでは、モーツァルトの音楽がおすすめです。モーツァルトの音楽には、副交感神経に働きかける高周波音が多く含まれ、リラックスしやすいといわれています。心身がリラックス状態になると、自然な眠りを誘うようになるのです。自然と合わさった曲クラシック音楽には「1/fゆらぎ」という心地よさを感じさせる特徴があるといわれています。「1/fゆらぎ」とは、規則性のなかに意外性が調和したもので、自然界にも存在しています。川のせせらぎや小鳥のさえずり、波が打ち寄せる音なども「1/fゆらぎ」の特徴があり、聴くと心地よさを感じられるのです。クラシック音楽初心者の方でも、自然の音がミックスされると緊張せずリラックスしやすいでしょう。睡眠に効果的なクラシック音楽おすすめ8選心地よい眠りやリラックスのための、クラシック音楽集・CDなどで採用されている曲のなかから、おすすめの8曲を紹介します。ピアノ協奏曲 第21番 第2楽章(モーツァルト)モーツァルトのピアノ協奏曲 第21番 第2楽章は、彼の楽曲のなかでも、指折りの美しいメロディー。ソロピアノの優雅な旋律が印象的です。1967年の映画「みじかくも美しく燃え」で使用されたことで有名になりました。ピアノ協奏曲 第1番 第2楽章(ショパン)ショパンの「ピアノ協奏曲 第1番 第2楽章」は、心にしみる切ないメロディーが印象的。ピアノの繊細な音色が響きます。世界的に権威のある「ショパン国際ピアノコンクール」において、多くのピアニストが課題曲に選ぶ曲としても有名です。ピアノ・ソナタ 第8番 《悲愴》 第2楽章(ベートーヴェン)ベートーヴェンの「ピアノ・ソナタ 第8番 《悲愴》 第2楽章」は、穏やかでセンチメンタルな印象がある旋律。冒頭部分の、一度聴いたら忘れられない、慰められるようなメロディーが有名です。《悲愴》のなかでも第2楽章は、クラシック音楽ファンから特に人気の高い曲といわれています。管弦楽組曲 第3番 第2曲:エール(バッハ)バッハの「管弦楽組曲 第3番 第2曲:エール」は「G線上のアリア」という通称が有名です。魂が洗われるような優美な主旋律に感銘を受けます。また、拍動を彷彿させる低音が気持ちを穏やかにするでしょう。交響曲 第9番 《新世界より》 第2楽章(ドボルザーク)ドボルザークの「交響曲 第9番 《新世界より》 第2楽章」は、郷愁にかられるメロディー。主旋律は、「遠き山に日は落ちて」という日本語の歌になっていることでも有名です。交響曲 第9番 《新世界より》 は、ベートーヴェンの交響曲第5番《運命》、シューベルトの交響曲第7番《未完成》とともに、三大交響曲と呼ばれています。ピアノ協奏曲 第20番~ロマンス(モーツァルト)モーツァルトの「ピアノ協奏曲 第20番〜ロマンス」は、映画「アマデウス」のエンディングに使用されたことで知られています。ゆっくりしたピアノのやわらかで美しいメロディーから始まり、ロマンスという名のとおり感情豊かに展開する曲です。月の光(ドビュッシー)ドビュッシーの「月の光」は、ピアノが奏でる幻想的なメロディー。美しさだけではなく、どこかもの悲しさも感じさせます。月の光は、彼の楽曲のなかでもっとも有名な曲といっても過言ではないでしょう。夜想曲 第2番(ショパン)ショパンのピアノ曲「夜想曲 第2番」は、彼の夜想曲でもっとも知られています。主旋律は情緒的で甘美。ピアニストによって、曲の雰囲気を華やかに感じたり、感傷的に感じたりするのも、この曲の奥深いところです。クラシック音楽が睡眠に与える4つの効果クラシック音楽が睡眠に与える効果は4つあります。効果を発揮するメカニズムも一緒に確認しましょう。自律神経を安定させるクラシック音楽を聴くことで、自律神経を安定させることが期待できます。クラシック音楽は、ゆったりしたリズムとリラックスを引き出す高周波音があるため、大脳辺縁系を気持ちよく刺激するといわれています。脳のなかでも、大脳辺縁系は原始的な脳といわれ、脳に届いた音などの刺激を、好きか嫌いか一瞬で判断する性質があるのです。大脳辺縁系が、クラシック音楽の刺激を好ましいと感じると、幸せホルモンといわれるβエンドルフィンやセロトニン、神経伝達物質のアセチルコリンが分泌されます。これらのホルモンや神経伝達物質には、自律神経の働きを調節して安定させる作用があるのです。心地よさを与えるクラシック音楽には「1/fゆらぎ」の音が多く含まれているため、心地よさを与えるといわれています。「1/fゆらぎ」には、風のそよぐ音や、しとしと降る雨の音などの自然界の音のほかに、人間の心拍音といった生体リズムもあります。人間が日ごろから慣れ親しむ音とクラシック音楽は、ともに「1/fゆらぎ」でシンクロするため受け入れやすく、心地よさを感じるのでしょう。ストレス解消に貢献するクラシック音楽を聴くと、幸せホルモンの分泌量が増えて、ストレス解消につながると考えられています。クラシック音楽には「1/fゆらぎ」や高周波音などが多く入っているため、聴くことでリラックスしやすいという研究報告も。脳が音楽の刺激を心地よいと判断すると、幸せホルモンといわれるβエンドルフィンやオキシトシンなどの分泌量が増えるとされています。βエンドルフィンやオキシトシンは、抗ストレス作用・不安の軽減などの働きを持つのです。睡眠の質によい影響を与えるクラシック音楽を聴くことで、大脳辺縁系が刺激されて、セロトニンの分泌が促されます。セロトニンは、日中は自律神経を整えたり、心の安定を保ったりする働きがありますが、夕方以降になると、睡眠ホルモンと呼ばれるメラトニンの原料になるのです。メラトニンは、夜になるにつれ分泌量が増えることで、睡眠を促し、途中で目が覚めないようにする働きがあります。セロトニンがしっかり分泌されて、メラトニンが十分に作られると、質の高い睡眠につながるのです。関連記事:睡眠を改善しませんか?質の高い眠りを手に入れる方法睡眠の質を上げるクラシック音楽の聴き方睡眠の質を上げるために、クラシック音楽を聴くときに注意する点を4つ紹介します。仰向けの姿勢で目を閉じて聴くリラックス状態へ導くには、クラシック音楽を聴くときの姿勢も重要です。仰向けの姿勢になると、体圧が分散されることで、筋肉の緊張がほぐれてリラックスしやすくなります。また、目を閉じると、視覚からの情報をシャットアウトして脳が休まり、自然と呼吸が深くなるため、自律神経が整いやすくなるといわれています。音量は40デシベル以下が望ましいクラシック音楽を聴くときは、40デシベル以下の音量にとどめましょう。音量が大きすぎると神経が興奮してしまい、寝つきが悪くなるため注意が必要です。音量が35デシベルを超えてくると、睡眠への影響が出始めるといわれています。WHO(世界保健機関)が作成した環境騒音ガイドラインでは、夜間の音量は40デシベル以下と定めています。音楽を聴くときの音量が適切かどうか心配なときは、音量を測れるアプリがあるため、利用してみると良いでしょう。イヤフォンを使う場合はタイマーを設定する周りの人を気にせず、自分だけ音楽を聴きたいときに、イヤフォンやヘッドフォンを使う人もいるでしょう。ただし、イヤフォンやヘッドフォンを使用するときに、大きな音量に設定したり長時間聴き続けたりすると「イヤフォン難聴」または「ヘッドフォン難聴」という、聴覚障害を引き起こすため注意してください。可能であれば、音楽はスピーカーで聴くのがおすすめです。やむを得ず、イヤフォンやヘッドフォンを使用する場合は、タイマーを設定して、寝入るころに音楽を止めるようにしましょう。耳を保護するだけではなく、心地よい眠りを誘うようになります。YouTubeは広告がないものを選ぶクラシック音楽をYouTubeで聴く際は、再生中に広告が入っていないものを選びましょう。広告によって、人の声やクラシック音楽と全く異なるリズムが耳に入ると、脳が刺激されて覚醒してしまう可能性があります。睡眠用に作られたYouTube動画は、再生中に広告を入れないようにしているものがあるため、探すときに注目しましょう。クラシック以外で睡眠時におすすめの音楽ジャンルクラシック音楽のほかにも、睡眠前におすすめの音が3つあります。それぞれの特徴を確認しましょう。ヒーリングミュージックヒーリングミュージックは、雨の降る音や風のそよぐ音、小鳥のさえずりなど自然界の音を収録したものです。自然界の音には「1 /fゆらぎ」という、心地よさを感じさせる特徴があります。寝る前にヒーリングミュージックを聴くと、リラックスしやすくなり、寝つきが良くなることが期待されています。オルゴール曲オルゴール音は、3.75ヘルツ~10万ヘルツと幅広い周波数を持っています。この高低周波数の音が、脳の血行を促して、自律神経とホルモンの働きを正常にするといわれており、オルゴール療法としても取り入れられています。オルゴール曲を聴くことで、自律神経の働きを整えて、ホルモン分泌が適切に行われることで、睡眠の質を高めると考えられています。ホワイトノイズホワイトノイズは、あらゆる周波数の音を同じ強さで混ぜたノイズ(雑音)のことです。具体的な例には、テレビの砂嵐やFMラジオの局間ノイズなどの「ザーッ」「ゴーッ」という音があります。ホワイトノイズは、外部からのドアを閉める音や車のエンジン音などの、不意に耳に入る音をかき消す「サウンドマスキング効果」があるといわれています。睡眠時にちょっとした物音が気になる人は、ホワイトノイズを取り入れると、寝つきが良くなることが見込めるでしょう。関連記事:ホワイトノイズで睡眠不足を解消!音を流して寝るだけの騒音対策 睡眠時はクラシックを聴いてリラックス効果を高めようクラシック音楽は、構成するリズムや音の特性により、心地よさを感じてリラックスしやすいといわれています。寝る前に聴くことで心身が安らぎ、自然な眠りにつながることが期待されています。睡眠時にクラシック音楽を取り入れるときは、曲のタイプや聴き方を意識すると、睡眠の質を高めるのに役立つでしょう。本記事で紹介したクラシック音楽も、ぜひ活用してください。