柳沢正史教授監修・自宅で取り組める睡眠改善サービス「SOMNO+」はこちらいびきのメカニズムと睡眠の質が低下する理由いびきは、空気が気道を通る時に生じる粘膜の振動音で、気道が狭くなると起こります。寝ている時は体中の筋肉が緩みます。喉や舌の筋肉も緩むため気道が狭くなりやすいのです。慢性的ないびきは睡眠の質を低下させます。気道が狭くなると体に取り込める酸素が少なくなり、眠りが中断されるためです。呼吸が浅くなったり無呼吸になったりすると、脳は酸素が足りないことを感知して呼吸を再開させます。呼吸が再開される時、覚醒するため、一晩の間に短い覚醒が何度も起こり深い眠りを得られづらくなります。いびきの種類別に原因とリスクを確認いびきの種類によっては、睡眠だけでなく健康にも悪影響を及ぼすことがあります。いびきの種類ごとに、原因とリスクを確認していきましょう。健康や睡眠に大きな影響のない「単純性いびき」「単純性いびき」とは、一過性のいびきです。原因がなくなればいびきがなくなるため、健康や睡眠に大きな影響を与えるわけではありません。ある研究により、単純性いびきは睡眠の指標や日中の眠気とは関係ないことが示されています。単純性いびきの原因は以下のような一時的な事象です。過労アルコールの摂取風邪やアレルギーなどによる鼻づまり体が疲れていたりアルコールが入ったりすると筋肉が緩み、いつもより気道が狭くなることがあります。鼻づまりがあると口呼吸になりやすい傾向です。口呼吸では舌が奥へ落ち込みやすく、いびきをかきやすくなります。参考:Dissociation between objectively quantified snoring and sleep quality健康や睡眠の質に影響がある「習慣性いびき」単純性いびきに対して、寝ている時、常にいびきをかくのが「習慣性いびき」です。喉に脂肪がついていたり顎が小さかったりする方などは、気道が狭くなりやすく、習慣性いびきをかきやすい傾向です。健康にも悪影響を及ぼすため注意しましょう。習慣性いびきは以下の2つに分類されます。睡眠時無呼吸症候群(SAS)上気道抵抗症候群1つずつ確認していきます。睡眠時無呼吸症候群(SAS)SASは睡眠中に呼吸が止まる病気です。無呼吸や低呼吸(浅い呼吸)が1時間に5回以上あるとSASと診断されます。SASによるいびきの特徴は以下です。大きないびきが突然止まる止まったあと大きないびきが再開する断続的に呼吸ができなくなるため、眠りが浅くなる傾向です。起きた時に頭痛があったりだるさを感じたりする、日中疲れを感じる、やる気が出ないといった症状があらわれます。質の高い睡眠が十分に取れないために、作業効率が低下するなど仕事に支障をきたすことが少なくありません。放置すると心臓病や狭心症、脳卒中など生活習慣病を引き起こす恐れがあります。健康的なリスクが大きいため、診断を受けることをおすすめします。参考:「呼吸器の病気」一般社団法人日本呼吸器学会関連サイト:SASオンラインクリニック上気道抵抗症候群上気道抵抗症候群はSASより軽症で、無呼吸や低呼吸はありません。しかし、寝ている間に何度も気道が狭まり、首や肩の筋肉など必要以上にエネルギーを使って呼吸をするため、眠りが浅くなります。上気道抵抗症候群のいびきは以下のような点が特徴です。呼吸は止まらないもののいびきが激しい一定のリズムでいびきが継続する眠りが浅くなるため、「日中いつも眠たい」など、日常生活に影響を及ぼす恐れがあります。SAS予備軍とも言われているため、医療機関の受診など早めの対処がおすすめです。自分のいびきの現状を確認する方法家族に指摘された、あるいは起きた時に口が乾いているなどいびきをかいている疑いがある場合は、下記の方法で自分のいびきを確認してみましょう。スマートフォンのアプリを使う自分のいびきを確認する方法の1つは、スマートフォンのアプリを用いる方法です。寝る時に、枕元などなるべく体の近くにスマートフォンを置くことで、いびきの音をリアルタイムで録音できます。日々の変化をグラフで視覚的に確認できたり、録音されたいびきの音を電子メールで送信できたりするため、治療を受ける際にも役立つでしょう。アプリには多くの種類があります。波音といった自然音により入眠をサポートする機能や、眠りの浅いタイミングでアラームを鳴らす機能など、必要な機能が備わっているアプリを選びましょう。関連記事:気軽にスタートできるスマートフォンのアプリウェアラブルデバイスを使う手首や腕などに装着して使うウェアラブルデバイスを使うのも有効です。いびきの音や程度の把握だけでなく、体に密着させることで皮膚温度や心拍数、眠りの深さの測定も可能です。日々の睡眠の質を向上させるためのフィードバックを得られます。ウェアラブルデバイスの多くはスマートフォンと同期することにより、瞬時にデータの記録が可能です。精度の高い測定が期待できます。ウェアラブルデバイスは、足首や指に装着するタイプ、頭に装着するヘッドセット型、体への装着が気になる場合は布団に敷いて使えるマット型など種類が豊富です。なるべくコンパクトなものがいい日中も健康管理できるものがいいなど使い勝手を考えて選ぶと良いでしょう。関連記事:高精度が期待できるウェアラブルデバイスのアプリ今夜からできるいびき改善策今いびきに悩んでいるという場合は、「早くいびきをなんとかしたい」と思われるはずです。今夜からできるいびき改善策として、以下の4つを紹介します。仰向けではなく横向き・うつ伏せで寝る口呼吸ではなく鼻呼吸を意識する枕を変えるいびき防止グッズを使う1つずつ確認していきます。仰向けではなく横向き・うつ伏せで寝る上向きに寝ると、舌が喉の奥に落ち込み気道がふさがれやすくなります。一方で身体を横に向けたり、うつ伏せで寝たりすると、気道が確保できないので、いびきが出にくくなります。仰向けで寝ている場合は寝姿勢を変えてみてください。横向きやうつ伏せで寝ることで、いびきの改善が見込めます。関連記事:理想の寝姿勢とは?3つの寝姿勢と知っておきたいポイント口呼吸ではなく鼻呼吸を意識する口呼吸はいびきが出やすい傾向です。口を開けると舌が動いたり喉の奥に落ち込んだりしやすく、空気の通り道が狭まるためです。日頃から鼻呼吸を意識し口呼吸の改善を心がけましょう。鼻づまりがあって鼻呼吸ができない場合は、治療の検討もおすすめします。枕を変える枕の高さを変えることでいびきの改善が期待できます。枕が高すぎたり低すぎたりすると、首が曲がって、気道が圧迫されてしまう可能性があるためです。横向きに寝る場合、頭から首、背中と、骨が真っ直ぐになる高さが理想とされています。枕は手持ちのタオルを丸めて作ることも可能です。タオルは微調整しやすいため、自分に合う高さを見つけやすいでしょう。いびき防止グッズを使ういびき防止グッズはドラッグストアやオンラインショップで購入可能です。口を閉じるためのテープや鼻腔を拡張するテープ、顎のサポーターなどを使えば鼻呼吸がサポートされます。舌が喉の奥へ入り込むことを防ぐマウスピースタイプもあります。歯を固定することで下顎が下がりづらくなるという仕組みです。寝姿勢や呼吸方法の見直しなどとともに使用を検討してみると良いでしょう。長期的ないびき予防策体型や体質が関係しているいびきは、ある程度期間が必要なものの、日頃の生活を見直すことで防げるかもしれません。いびきの予防策を2つ紹介します。ダイエットで首や喉まわりの脂肪が原因となるいびきを予防睡眠時無呼吸症候群(SAS)の70%が肥満であるという報告もあり、日頃から適正体重の維持を心がけることがおすすめです。肥満であるかの判断は、国際的な指標であるBMI(Body Mass Index)を指標とすると良いでしょう。日本肥満学会では、BMIが18.5〜25未満の場合は普通体重、適正体重はBMIを22として計算された値としています。各計算式は下記のとおりです。BMI = 体重kg ÷ (身長m)2適正体重 = (身長m)2 ×22上記の結果を目安に、健康維持を目指しましょう。無理な食事制限ではなく、ウォーキングやストレッチなど適度な運動を取り入れたダイエットが理想的です。適正体重を目指すことで、首や喉まわりの脂肪が原因となるいびきを予防できます。参考:「肥満度分類」日本肥満学会生活習慣の改善で鼻炎が原因となるいびきを予防鼻づまりがあると、気道が狭まる口呼吸になりやすく、いびきの原因になります。鼻炎の方は、炎症を引き起こすアレルギー源は避けなければなりません。また、喫煙や飲酒はアレルギー性鼻炎の発症や悪化に関わることがあるため、控えることをおすすめします。鼻炎は、生活リズムを整えて生活習慣を改善することで、症状が緩和されると言われています。体質改善で食事に気を使ったり運動習慣を身につけたりするなど、生活習慣を見直して鼻炎によるいびきを予防しましょう。不眠の原因になるいびきは医療機関へ相談いびきは自分だけでなく家族の不眠を招く場合があります。また、単なる騒音の問題というわけではなく、健康をおびやかすいびきもあり注意しなければなりません。睡眠の質が落ち、寝ても疲れが取れない、日中の集中力が続かないなど生活に支障をきたしている場合は、睡眠時無呼吸症候群(SAS)によるいびきである可能性があり、治療が必要です。いびきとともに日中の強い眠気や倦怠感がある場合は、専門の医療機関を受診しましょう。いびきが改善すれば日中のパフォーマンスの向上も期待できます。