柳沢正史教授監修・自宅で取り組める睡眠改善サービス「SOMNO+」はこちら睡眠の質の向上に呼吸法が役立つ理由呼吸法が快眠に役立つのは、以下のような理由からです。自律神経が整う深い呼吸をゆっくりおこなう呼吸法は、副交感神経を優位にできるため、自律神経を整えるのに有効です。呼吸や消化、排泄など自分の意思と無関係に働く自律神経には、交感神経と副交感神経があります。2つがバランスよく働くことで心身ともに元気に過ごせます。しかし、現代社会はストレスや生活時間が不規則な生活により、交感神経が優位になりやすい傾向です。交感神経が優位な状態では休息できません。呼吸法は自律神経に働きかけ、交感神経の働きが高まっている状態を鎮められます。緊張がほぐされる呼吸法は、腹式呼吸を意識的にゆっくりおこなうリラクゼーション方法です。深く呼吸をおこなうことにより、心身をリラックス状態に導きます。現代はストレス社会といわれているように、仕事や人間関係などで悩みを抱える方が多いです。心が不安に占領され緊張が高まっていると、呼吸は速く、浅くなります。心拍数や血圧が上昇するため、身体は覚醒状態になり休まりません。呼吸法で呼吸に集中できると、心配事や考え事から離れられます。また、腹式呼吸により筋肉も緩みやすくなり、心身の緊張がほぐされます。快眠におすすめの呼吸法5つとやり方呼吸法にはいくつかの種類があります。快眠におすすめの呼吸法を2つのグループに分けて紹介します。注目度の高い呼吸法2つ眠りに導く呼吸法として紹介されることが多く、注目度の高い呼吸法は以下の2つです。4-7-8呼吸法ボックス・ブリージング2つの呼吸法は、開発者が特定されていて米軍で採用されているなど、信頼性が高く実績のある呼吸法といえるでしょう。健康医学研究者が提唱する「4-7-8呼吸法」「4-7-8呼吸法」は、アリゾナ大学のアンドリュー・ワイル(Andrew Weil)博士が開発した呼吸法です。フーと音を立てて口から完全に息を吐く口を閉じ鼻から息を吸って4つ数える息を止めて7つ数える8つ数えながらフーッと音を立てて口から息を吐く上記のサイクルを最大4回繰り返します。息を止めるのが苦しい場合はスピードを上げてもかまいません。4:7:8の比率は守るようにしましょう。参照:Weil Lifestyle米軍でも採用されている「ボックス・ブリージング」「ボックス・ブリージング」は、米軍や警察の特殊部隊で採用されているとされる呼吸法です。「ボックス呼吸法」とも呼ばれています。4つ数えながら鼻から息を吸う4秒間息を止める4つ数えながら息を吐く 4秒間息を止める緊張を感じる前でも感じた後でも、上記の呼吸を繰り返すことでリラックスできます。4秒のところを2秒でおこなうなど、間隔は調整してかまいません。参照:Relaxation Techniques初心者におすすめする呼吸法3つ紹介した2つの呼吸法は、やり方を頭で追いながら数もカウントしなければならず、リラックスするのがむずかしいかもしれません。呼吸法を初めて実践する方に向けて、以下の3つを紹介します。丹田呼吸法大の字呼吸法代替鼻孔呼吸法取り組みやすいものから実践してみましょう。丹田呼吸法「丹田呼吸法(たんでんこきゅうほう)」は2500年以上前、お釈迦様が実践した呼吸法から始まったと考えられています。丹田のある下腹部に両手を当てる下腹部を膨らませながら息を吸うお腹をへこませながら、ゆっくりと息を吐く吐く時は、吸う時の倍の時間をかけて吐き出しましょう。参照:「丹田呼吸法とは」NPO法人丹田呼吸法普及会 「呼吸の極意~丹田呼吸法をやってみよう~」 月刊「診療研究」大の字呼吸法「大の字呼吸法」は、体を大の字に広げ、寝た状態でおこないます。体を横にすることで全身がリラックスしやすく、お腹の動きも感じやすいでしょう。鼻からゆっくりと十分に息を吸う鼻から静かに息を吐く息を吐く時は床に体が沈み込むようなイメージで、呼吸を繰り返します。代替鼻孔呼吸法「代替鼻孔呼吸法(だいたいびこうこきゅうほう)」は、片鼻呼吸法(かたはなこきゅうほう)とも呼ばれる、ヨガの呼吸法の1つです。右手で右側の鼻孔を軽く押さえ、左側の鼻孔から吸い込む左手で左側の鼻孔を軽く押さえ、右側の鼻孔から吐き出す逆側も同様におこなう(右の鼻孔から吸い込み、左の鼻孔から吐き出す)鼻の粘膜では一酸化窒素が生成されています。一酸化窒素には血管拡張作用があり、リラックス効果が期待できます。代替鼻孔呼吸法では、交互に両方の鼻腔を使うため効果的に一酸化窒素を吸入でき、休息モードに入りやすいでしょう。参照:姫路医師会「偉大な鼻呼吸」呼吸法を試しても眠れない場合の対処法呼吸法を試しても眠れない場合は、ほかに睡眠を妨げる原因があるかもしれません。熟睡するために気をつけたいこととして、以下の3つを紹介します。寝室の温度や湿度を調整する寝具で寝床内環境を調節する体をリラックスさせる「筋弛緩法」をおこなう1つずつ確認していきます。寝室の温度や湿度を調整する睡眠の質は、睡眠環境の影響を受けるので、寝室を熟睡しやすい環境に整えましょう。寝室の室温と湿度は、下記のように調整するのがおすすめです。室温:20℃前後湿度:40~70%エアコンや加湿器で、良好な寝室環境を保てるよう心がけてください。参照:「不眠症」厚生省e-ヘルスネット寝具(布団やパジャマ)で寝床内環境を調節する「寝床内環境(しんしょうないかんきょう)」とは、布団の中の温度や室温のことです。寝室の環境だけでなく、寝床内環境も寝やすさと関係が深いので、以下の温度を保つのが理想的です。布団の中の温度:32度~34度布団の中の湿度:45%〜55%快適な睡眠を得るには、布団やパジャマで寝床内環境を調整することも必要になります。 体をリラックスさせる「筋弛緩法」もおこなう「筋弛緩法」は、アメリカの内科医であり、精神科医でもあったエドモンド・ジェイコブソン(Edmund Jacobson)博士によるリラクゼーション法です。正式名称は「漸進的筋弛緩法(ぜんしんてききんしかんほう)」です。体の各パーツの筋肉において、緊張と弛緩を繰り返すことで、リラックス状態を目指します。力を意識的に入れてから抜くことで、力が抜けた状態を感じやすくなります。具体的には、力いっぱい手を握ってゆっくり広げる、両肩を耳に近づけるようにグッと上げてストンと落とすなどです。やり方に決まりはありませんので、体が緩むやり方で実践してみてください。呼吸法以外で快眠のために日頃から心がけたいこと良い睡眠を得るには、日常的に健康な生活を送るよう心がけましょう。快眠のために心がけたいポイントとして、以下の3点を紹介します。ストレスを溜め込まない昼間は日光を浴びる就寝前の入浴で体温調整する1つずつ確認していきます。ストレスを溜め込まないストレスは睡眠を妨げます。ストレスがあると交感神経が優位な状態になり、脳が興奮して眠りにつきにくくなったり、途中で目覚めやすくなったりするためです。ストレスは溜め込まず、こまめに発散し対処することで、自律神経の乱れを防ぎましょう。また、ストレスを受けるとストレスホルモンといわれる「コルチゾール」の分泌が増え、睡眠の質が低下します。ストレスと睡眠状態の関連を調べた研究で、コルチゾール反応が亢進している人は、睡眠状態(特に睡眠の質)が悪いことが明らかになったことが示されています。参照:国立精神・神経医療研究センター 功刀浩部長 研究グループが、ストレスホルモンの調節異常と睡眠の質の低下とが関連することを明らかに 昼間は日光を浴びる日光を浴びると体内時計がリセットされ、寝つきやすくなります。生物には、日中に活動して、夜は休むという体内時計が備わっています。体内時計は24時間より少し長めになっているため、1日の周期である24時間に調整することが必要です。調整しないままだと、生活のリズムが後ろにズレてしまいます。体内時計のズレをリセットする方法は、光を浴びることです。また、昼間に光を浴びると、夜に睡眠ホルモンといわれる「メラトニン」の分泌が増え、眠りやすくなることも知られています。参照:「快眠と生活習慣」厚生省e-ヘルスネット就寝前の入浴で体温調整する体温が上昇すると寝つきやすくなるため、就寝前の入浴はおすすめです。体温は昼間に高くなり、夜間に低くなります。体温が低くなると、身体は休息状態になります。入浴で一時的に皮膚の体温を上げると、その後体温が急下降しやすくなり、眠気を誘発します。ただし、就寝直前の入浴は寝つきを悪くする可能性があり、入浴の時間帯は、就寝時間の2時間〜3時間前がおすすめです。参照:「快眠と生活習慣」厚生省e-ヘルスネット呼吸法で自律神経をコントロールし快眠を目指そう睡眠は自律神経と深い関係にあります。休息には副交感神経が優位になる必要があり、交感神経が優位な状態だと休まりません。自律神経は、意思とは関係なく働くため、交感神経と副交感神経を自分で切り替えることは簡単ではありません。しかし、正しい呼吸法によって、副交感神経を優位にすることができます。呼吸法は、自律神経をコントロールできる数少ない方法だといえるでしょう。正しい呼吸法を身につけることは、質の良い睡眠を得るのに役立ちます。あわせて、睡眠環境を良好にして、生活リズムを整えて、満足度の高い睡眠を目指しましょう。