柳沢正史教授監修・自宅で取り組める睡眠改善サービス「SOMNO+」はこちら4つある不眠のタイプ別改善策不眠には4つのタイプがあり、以下の特徴があります。睡眠について悩まれている方に向けて、タイプ別に改善策と注意点を紹介していきますので、自分が当てはまるタイプを確認してください。入眠障害:寝つきが悪く、眠るのに30分〜1時間以上かかる中途覚醒:翌朝起きるまでに何度も目覚めてしまう早朝覚醒:起きる予定時間より早く目覚めて眠れない熟眠障害:睡眠時間を確保できていてもぐっすり眠った満足感がない入眠障害の改善策と注意点寝つきが悪い場合は、不規則な生活が原因として考えられます。生活リズムが乱れていると体温変動のリズムも乱れて眠りにくくなります。入眠障害の改善策として、就寝に向けた体温調整の方法、生活リズムをリセットする方法、寝る前の習慣で見直すべき欲しいポイントをお伝えします。就寝の2~3時間前に入浴する就寝の前に体を温めると深部体温が下がりやすくなるため、寝つきが良くなります。体温には臓器の体温である「深部体温」と皮膚表面の「皮膚体温」があり、深部体温が低くなると眠くなります。一時的に体を温めると熱が逃げる「放熱」が起こるため、入浴により就寝に向けて深部体温の低下を狙うことが可能です。入浴で深部体温が0.5〜1℃上がることで寝つきが良くなります。深部体温は皮膚温度より高い37℃程度が平均です。深部体温を上げるには、37℃より高い38℃のお湯に30分、42℃程度のお湯なら5分程度の入浴がおすすめです。ただし、就寝直前の入浴は寝つきを悪くする可能性が高いため、寝る2~3時間前の入浴を目指しましょう。参照:「快眠と生活習慣」厚生省e-ヘルスネット日光を浴びて体内時計を調節する日光を浴びて「体内時計」を調整すると、朝目覚めて夜眠くなるという生活リズムが整います。地球上の生物には体内時計が備わっており、体内時計によって、ホルモンの分泌や自律神経のバランスが調整されています。ただし、体内時計は24時間より長いため、ズレを修正して24時間に調整しなければなりません。修正ができないままだと、夜になっても寝つきづらくなってしまいます。体内時計のズレを修正してリセットする方法が光を浴びることです。日光を浴びると、夜は自然と眠りやすくなります。睡眠ホルモンとも言われる「メラトニン」の分泌が、昼間は抑えられ夜は促されるようになるためです。在宅ワークで日中外出の頻度が少ない方もいるでしょう。休憩中は外に出るなど、外出の機会を増やすことをおすすめします。就寝前のパソコンやスマートフォンは控える夜遅くまでパソコンやスマートフォンで作業すると、睡眠を促すメラトニンの分泌が抑制され、睡眠に悪影響を及ぼします。メラトニンの分泌は光で調整され、光を浴びると分泌が抑えられ眠気が生じにくくなります。睡眠にとっては、夜に強い光を浴びることは良くありません。体内時計が乱れて寝つきが悪くなります。パソコンやスマートフォンの画面からはブルーライトが発せられているため、快眠のためには夜の作業は控えましょう。就寝に向けて室内照明の光も暗くすることをおすすめします。中途覚醒の改善策と注意点途中で目覚めてしまう場合は、心身がリラックスできていないことや生理的要因が原因として挙げられます。中途覚醒の改善策として自律神経を整えるのに必要なことや睡眠環境で整えるべきポイント、生理的要因への対処法をお伝えします。ストレスを軽減するストレスが溜まっていると自律神経が乱れたり、ストレスホルモンと言われる「コルチゾール」が過剰に分泌されたりすることで、何度も目が覚めてしまいます。自律神経には、活動モードでよく働く交感神経とリラックスモードで働く副交感神経があり、夜になると優位になるのが副交感神経です。夜は副交感神経が活発になることで眠りやすい状態になります。しかし、ストレスで自律神経が乱れると、交感神経から副交感神経への切り替えがうまくいきません。夜になっても交感神経が活発のままだと、脳が休まらなくなってしまいます。また、ストレスを受けると心身を守るためにコルチゾールが分泌され、コルチゾールの分泌が多いと睡眠の質が低下します。ストレスの原因に対処したり運動でストレスを発散したりするなど、ストレスを溜め込まない工夫が必要です。参照:国立精神・神経医療研究センター 功刀浩部長 研究グループが、ストレスホルモンの調節異常と睡眠の質の低下とが関連することを明らかに 寝室の温度や湿度を調整する睡眠中は、寝室の温度や湿度といった睡眠環境の影響も受けます。睡眠のための適温は20℃前後、湿度は40〜70%くらいに保つのが適しています。寝室だけではく、布団の中の環境も快適に保つことが必要です。快眠のための寝床内環境の目安は以下です。布団の中の温度:32~34度寝室の湿度:45〜55%寝具やエアコンにより、快適な睡眠環境に整えましょう。参照:「不眠症」厚生省e-ヘルスネット 「快眠のためのテクニック -よく眠るために必要な寝具の条件と寝相・寝返りとの関係」厚生省e-ヘルスネット水分や塩分の摂りすぎに注意する夜間トイレで目覚めることが2回以上あると、睡眠の質に影響が生じます。水分摂取による健康増進効果の研究結果によると、起床後と就寝前2時間以内の水分摂取を続けると、血圧低下、体温上昇もしくは低下抑制といった健康増進効果が見られることがわかりました。寝る前の水分補給は健康にとっては好ましいものの、夜間のトイレの回数が増える可能性があるため注意しなければなりません。水分摂取量に比例して排尿量は増えるため、就寝前は水分を摂りすぎないことです。また、塩分の摂りすぎも良くありません。長崎大学病院の研究により、日中の塩分摂取量が増えると夜間の排尿回数が増えることがわかっています。夜間にトイレで目を覚ますことが多い場合は、水分摂取量だけでなく塩分を摂りすぎていないか、食事内容の見直しもおすすめです。参照:毎日の水分摂取量と水分補給の増加が日本人成人の健康に及ぼす影響 国立大学法人 長崎大学早朝覚醒の改善策と注意点予定より早く目覚めてしまう場合は、外部環境が原因として考えられます。早朝覚醒につながる外部環境への対処法をお伝えします。また、就寝前の改めるべき生活習慣も確認しておきましょう。寝室の環境を見直す家族や近隣の人の起床時間が早いと、生活音により眠りが妨げられることがあります。目はまぶたを閉じていても光を認識するため、寝る時だけでなく睡眠中も強い光が当たらないようにしましょう。また、車や電車、飛行機といった交通における騒音については時間と共に慣れるものの、生活騒音には慣れにくい傾向です。周りと生活時間が異なる場合は、遮光カーテンやアイマスク、パーテーションの取り付けなどを検討しましょう。参照:騒音による睡眠妨害に関する一考察アルコールを控えるアルコールを飲むとリラックスして眠くなります。しかし、深い眠りを妨げ、利尿作用により途中で目覚めやすくなります。寝つきが悪いという理由で、寝る前にアルコールを飲む寝酒(ナイトキャップ)の習慣がある場合は改めましょう。熟眠障害の改善策と注意点満足な睡眠が得られていない原因は、生活習慣の影響が考えられます。生活習慣を整える方法や継続したい習慣、見直すべき食生活についてお伝えします。生活リズムを一定にする食事や睡眠の時間といった生活リズムが一定だと、ホルモンの分泌や自律神経の働きが整いやすくなり、熟眠につながります。ホルモンの分泌や自律神経の調節は、自分の意思ではコントロールできません。日中に光を浴びたり食事の時間を一定にしたりするなど、毎日の生活リズムを整えることで調整されます。運動習慣を身につける運動するとホルモンバランスが調節されたりストレスが軽減されたりします。体が疲れることで自然と眠りやすくなります。快眠のためには運動を継続することが必要です。また、就寝の直前に激しい運動を行うと、交感神経が活発になり体が目覚めてしまう可能性があります。睡眠の質の向上のためにおすすめなのは、就寝より3時間前ほどに行う早足のウォーキングや軽いランニングなどです。参照:「快眠眠と生活習慣」厚生省e-ヘルスネット食事は寝る3時間前までに済ます食べ物の消化には、2〜3時間かかるため就寝の3時間前には食事を済ませておくのが理想です。体は、休むことより消化を優先させるため、寝る前に食事をすると熟睡しづらくなります。食事が遅くなる場合は、揚げ物などは避け、うどんや野菜の煮物、スープなど消化に良い食事メニューにすることを心がけてください。睡眠の質を上げる栄養素5つ。食事も大切食べ物も睡眠に影響を与えます。睡眠の質の向上が見込める栄養素を5つ紹介します。トリプトファンL-テアニン清酒酵母グリシンL-セリン各栄養素について、自炊のときだけでなく、外食でメニューを選ぶ際も意識すると良いでしょう。必須アミノ酸「トリプトファン」トリプトファンは必須アミノ酸の1つで、乳製品や大豆製品、ナッツ類などに含まれています。必須アミノ酸は体では作れず食事から摂取しなければなりません。トリプトファンは、睡眠に影響を与えるメラトニンとメラトニンを作るホルモン「セロトニン」のもとになります。 海外の研究によると、トリプトファンが多く含まれたシリアルを3週間食べたところ睡眠効率が改善したと報告されています。参照:Tryptophan-enriched cereal intake improves nocturnal sleep, melatonin, serotonin, and total antioxidant capacity levels and mood in elderly humans天然アミノ成分「L-テアニン」L-テアニンは、お茶のうまみに関わる天然アミノ酸です。寝る前に摂取すると、途中で起きることが減り睡眠を安定させることが報告されています。また、興奮を落ち着かせて心身をリラックスさせる効果や、起きた時に疲労回復を感じられる効果も示されています。ただし、お茶には覚醒効果のあるカフェインも含まれているため、就寝前の飲み過ぎには注意が必要です。参照:L-テアニンの睡眠改善の機能性に関する研究レビュー(メタアナリシス)日本酒製造に使われる「清酒酵母」清酒酵母は日本酒製造に利用されるほか酒粕などにも含まれる微生物です。睡眠に不満を持つ人を対象に行った試験の結果、清酒酵母を摂取したところ深い睡眠時に現れるデルタ波パワーが増え、尿中成長ホルモンの分泌量が増加したという研究があります。研究結果により、清酒酵母を摂ることで深い睡眠が得られることがわかりました。ただし、過剰なアルコールの摂取は睡眠の質を低下させるため注意が必要です。参照:睡眠改善食品アミノ酸「グリシン」グリシンは動物性タンパク質に存在し、ホタテやエビ、カニ、牛肉・豚肉・鶏肉といった肉類に多く含まれています。睡眠改善サプリメントとして、機能を表示することが最初に認可された栄養素です。グリシンの効果を検討する試験において、グリシン3gを就寝前に摂取すると、睡眠の質が改善されたと報告されています。翌日の眠気や疲労の改善、パフォーマンスの向上が見られました。参照:睡眠改善食品アミノ酸「L-セリン」L-セリンは牛乳や大豆、高野豆腐、イクラ、かつお節、海苔に多く含まれるアミノ酸です。睡眠に満足していない人が4日間連続で就寝30分前に3g摂取したことにより、寝つきや睡眠の持続感が改善されされたという研究結果があります。また、2日間連続で就寝30分前に3g摂取すると、睡眠の満足感が改善されると報告されています。参照:睡眠改善食品睡眠の質を上げる栄養素を効率的に摂取する方法紹介したおすすめの栄養素5つについて、毎回の食事で摂取するより効率的な方法が、サプリメントによる摂取です。サプリメントにより摂取すると、栄養素を摂るためのレシピで苦労することがなくなります。また、食品で摂取する場合は過剰摂取に注意が必要ですし、アレルギーで受け付けない場合は摂取が不可能です。例えば、お茶でL-テアニンを摂取しようとすると、覚醒作用のあるカフェインも同時に摂ることになるため注意しなければなりません。アルコールが苦手であれば、清酒酵母の摂取は避けることになるでしょう。サプリメントにより摂取すると上記のような心配はなく、対象の成分だけの摂取が可能なため効率的です。睡眠の質が向上したかがわかるチェックポイント食生活の見直しや紹介した改善策を試した結果、実際に睡眠の質が上がったかを把握することも必要です。以下のような方法により振り返ることで、自分に足りないものや必要な改善策を改めて認識できます。睡眠アプリでの計測値に変化があるか健康維持に大切な「睡眠休養感」があるか「脳疲労」の改善が見られるか1つずつ確認していきます。睡眠アプリでの計測値に変化があるかスマートフォンやウェアラブルデバイスの睡眠アプリを利用すると、実施前後の変化を確認できます。アプリでは、レム睡眠とノンレム睡眠のバランス、寝返りの回数、心拍数や呼吸数などで睡眠の質の計測が可能です。改善策の実施前後で計測し、アプリで記録を残すことにより、客観的に変化がわかります。変化が見られない場合はほかの改善策を試すことで、自分に必要な方法を見つけられます。健康維持に大切な「睡眠休養感」があるか朝目覚めた時、休まった感覚、つまり「睡眠休養感」があるかを意識してみてください。眠ったことで体が休まったという主観的な感覚を得られていれば、睡眠の質が高い証拠です。睡眠休養感は健康維持における指標の1つです。アメリカで行われた調査では、40歳から64歳の働き盛りの世代について、睡眠時間が5時間半未満で「睡眠休養感」が低いほど死亡リスクが高まったという結果が示されています。参照:健康づくりのための睡眠ガイド 2023 「脳疲労」の改善が見られるか集中力が増し、すっきりした感覚があるかもチェックしてください。脳疲労とは前頭葉の機能が低下した状態です。脳の前頭葉の機能が低下するとミスの増加などパフォーマンスに悪影響を及ぼします。睡眠時間を十分確保し質の高い睡眠が取れると、脳疲労の回復が期待できます。情報の整理や物事への対処がスムーズにできるようになり、仕事の効率に改善が見られるはずです。専門クリニックや支援サービスの利用もおすすめ日中は体を動かし、夜は暗く静かな環境で休むといったメリハリのある生活を目指すと体内時計が整いやすくなります。睡眠の質を上げるために、紹介した不眠タイプ別の改善策や食事の見直しなど、できるところからスタートしてください。改善策を試したものの不安が残り仕事や日常生活に支障がある場合は、睡眠における専門クリニックの受診や支援サービスの利用の検討をおすすめします。