柳沢正史教授監修・自宅で取り組める睡眠改善サービス「SOMNO+」はこちら関連記事:質の高い眠りをサポート!睡眠を深くする7つの方法 眠りが深いか主観的に確認。簡単にできるセルフチェック眠りが深いかどうかは実感を伴うものです。主観的に判断できる具体的な確認方法としてセルフチェック3項目を紹介します。朝の目覚めがスッキリしている深い眠りを得られると、睡眠中に分泌される成長ホルモンによって、傷ついた細胞が修復されたり記憶が整理されたりするため、目覚めが良いです。深い眠りをとると心身が休まり疲労も回復するため、起きたときに熟睡感を得られます。脳と体において十分な休息をとれることで、朝起きたときに頭がぼんやりすることが少なく、エネルギーに溢れている感覚があります。日中眠気を感じにくく物事に集中できる深い睡眠をとると体の疲れがとれてスッキリするだけでなく、脳が整理されるため集中力がアップします。睡眠不足の状態は、脳の働きを妨げ、集中力だけでなく判断力や記憶力も低下しがちです。よく眠れると頭の中がスッキリとしているので、思考がクリアになります。眠気に邪魔されることがなく必要な判断を下せるでしょう。夢を覚えていない「夢を覚えていない」「夢を見たかどうかわからない」という場合も、深い眠りを得られている可能性があります。睡眠中、レム睡眠(浅い睡眠)とノンレム睡眠(深い睡眠)を繰り返していて、夢を見るのは浅い睡眠であるレム睡眠のときとされているためです。夢を覚えているかどうかは必ずしも眠りの深さと関係しているとは限りません。しかし、一回の睡眠でいくつも夢を覚えていることが多い場合は眠りが浅い可能性が考えられます。眠りの深さや睡眠の質をデータで客観的に確かめる方法眠りの深さは本人の感覚で判断もできます。しかし、感覚は人それぞれ異なるため、あいまいな指標です。そこで、以下で紹介するようなデータより得られる客観的な情報と合わせて、総合的に判断するのがおすすめです。参考資料:【スリープテック入門】 企業が知るべき基礎と導入メリットクリニックでのポリソムノグラフィー(PSG)ポリソムノグラフィーは体に複数のセンサーを取り付けて、眠りの深さや睡眠の質を調べる検査方法です。電気的な信号を記録する装置を使い、脳波や筋電図(筋肉の動き)、眼球運動(眼の動き)といった複数のパラメータを同時に測定します。ポリソムノグラフィーは、睡眠クリニックでおこなわれる検査です。専門の医師が評価することで、問題や異常を発見でき睡眠の状態を解析できます。睡眠時無呼吸症候群(SAS)の確定診断や治療計画にも用いられます。気軽にスタートできるスマートフォンのアプリ手持ちのスマートフォンに睡眠解析のアプリをインストールすることでも、睡眠の質を確認できます。アプリでは、睡眠がどれくらい深かったのか、どの時間帯に一番眠れていたのかを可視化します。目覚めた回数や呼吸音から睡眠を判定するだけでなく、眠りの浅いタイミングでアラームを鳴らすもの、癒しの音で眠りを誘うものなど快適な睡眠をサポートする機能も充実している傾向です。スマートフォンがあればアプリをダウンロードするだけで試せるため、気軽にスタートしてみたい方におすすめです。高精度が期待できるウェアラブルデバイスのアプリウェアラブルデバイスとは手首や腕、頭などに装着するコンピューターデバイスのことです。体の動きや心拍数、息のリズムなどを測定できます。運動習慣を測定して健康管理に役立てている方も多く、ストレスなく身につけられるように小型で軽量です。動きや傾きの程度を測定できる加速度センサーや、心拍数センサーといった複数のセンサーにより、高精度な睡眠の判定が期待できます。眠りの深さを判定するアプリの判定項目ポリソムノグラフィーは、クリニックを受診する必要があるためハードルが高いと思われるでしょう。一方のスマートフォンやウェアラブルデバイスは気軽に試せます。しかし、簡単にスタートできる反面、信頼できるものなのか気になるかもしれません。アプリでは何を指標に睡眠を判定するのでしょうか。いびきの有無録音機能によりいびきの有無や回数、無呼吸状態の時間を判別できます。いびきの原因として考えられる要素は、体の位置や鼻通りの悪さ、アルコールの摂取など複数あります。ただし、音が大きい場合や断続的に確認できる場合は、深い眠りが妨げられているかもしれません。慢性的ないびきは睡眠時無呼吸症候群が疑われますので、ポリソムノグラフィーによる精密検査の検討をおすすめします。寝返りの頻度スマートフォンやウェアラブルデバイスを枕元に置くことで、センサーにより体の動きを測定できます。理想とされている一晩の寝返りの回数は20回程度です。寝返りによって体の一部に負担がかかることを避けられるため、不快感を軽減でき血流を促進します。布団の中の温度調整や床ずれの予防のためにも寝返りが必要です。寝返りが多すぎたり少なすぎたりする場合は、寝具やパジャマがあっていない可能性が考えられるため、見直しを検討すると良いでしょう。心拍数や呼吸の状態眠りの深さを測るアプリでは、録音機能により呼吸の状態を確認できます。ウェアラブルデバイスであれば心拍数も測定できます。深い眠りでは心拍数、呼吸数は安定して少なくなる傾向です。心拍数が多い場合は無呼吸が繰り返されていることが考えられますし、睡眠姿勢が不安定で体に負担がかかっていたり、ストレスや不安が強くなっていたりする可能性もあります。参照元:睡眠時の呼吸周波数推定「睡眠時無呼吸症候群と心拍変動のフラクタル解析時に認められる異常なパワー値の増大」「心拍変動による精神的ストレスの評価について検討」睡眠中の心拍数や呼吸の状態を把握しておくことで、身体の異常を早く発見できます。レム睡眠とノンレム睡眠のバランス眠っている間は、レム睡眠とノンレム睡眠の2種類の睡眠が交互に訪れます。アプリでは、センサーや呼吸音から2種類の睡眠のバランスを推測します。レム睡眠中は主に脳が休息し、ノンレム睡眠中は身体が休息するため、良質な睡眠を求めるなら、2種類の睡眠のバランスを確認してください。睡眠中は、60分〜80分のノンレム睡眠と10分〜30分ほどのレム睡眠が、90分〜120分の周期で繰り返されています。一晩でレム睡眠とノンレム睡眠の1サイクルが4回〜5回おこなわれるのが理想的です。少ない場合は睡眠時間の確保を心がけることをおすすめします。参照元:「レム睡眠のメカニズムと生理的意義」公益社団法人日本生化学会「ノンレム睡眠」e-ヘルスネット厚生労働省 「内科疾患における睡眠障害の重要性」本内科学会雑誌第109巻臨時増刊号深い眠りに必須「成長ホルモン」の分泌を阻害する要素睡眠中は「成長ホルモン」が分泌されます。成長ホルモンは深い睡眠であるノンレム睡眠中に分泌され、疲労回復、細胞の修復や再生を促進する役割があり、熟睡の鍵を握っています。深い眠りを得るには、以下で紹介する成長ホルモンの分泌を阻害する要素を取り除くことが必要です。慢性的なストレスストレスはストレスホルモン「コルチゾール」の分泌を増加させ、成長ホルモンの分泌を抑制すると言われています。コルチゾールは体のストレスを調節する役割がある大切なホルモンです。しかし、ストレスによって過剰に分泌されると成長ホルモンの分泌を抑えてしまい、睡眠に悪影響を与えます。コルチゾールは、起きる数時間前から起床後1時間程度まで多く分泌され活動の準備をおこないます。ストレスに対処するために必要不可欠である一方で、眠るときには分泌が抑えられていることが理想です。人間の体は生命活動を維持するために自律神経が働いています。自律神経には交感神経と副交感神経があり、活動モードの日中によく働くのが交感神経、夕方以降は休息をとるために活発になるのが副交感神経です。しかし、ストレスが長期間続くと交感神経と副交感神経の切り替えができず自律神経が乱れます。自律神経が乱れると、夜になっても活動モードの交感神経が活発になり、コルチゾールの分泌も活発になります。ストレスは溜め込まず、運動や趣味の時間を確保してうまく発散させましょう。また、ストレス解消には睡眠に加えて、恐怖や悲しみなどの感情を口に出してストレスを減らすカタルシス効果も有効です。参照元:「Cushing 病患者に対する GHRP-2 負荷試験での GHおよび ACTH 反応性の特徴」第 32 回 日本間脳下垂体腫瘍学会 Proceeding【イラスト付き】カタルシス効果とは?意味やビジネスにおけるメリットを徹底解説|Msta不規則な生活リズム就寝時間や起床時間が不規則だと体内時計が乱れ、成長ホルモンの分泌においても調整が難しくなります。生活リズムが一定でないと睡眠も不規則になりがちです。生活リズムが乱れて睡眠が細切れになると、成長ホルモンの分泌が少なくなってしまいます。体内時計を調整しているのは「メラトニン」と言われるホルモンで、成長ホルモンの分泌を促すと言われています。メラトニンは光の影響を受けるため、夜遅くまで仕事や勉強をしたり、スマホやパソコンを使っていると分泌が抑えられてしまうのです。メラトニンによって自然な眠気を感じられるように、夜間は光の刺激は避け休息することを意識しましょう。不健康な生活習慣不健康な生活習慣も成長ホルモンの分泌を阻害する要素のひとつです。運動不足や就寝前のカフェインやアルコールの摂取は、睡眠の妨げになります。また、必須アミノ酸のひとつであるアルギニンや亜鉛が不足していると、成長ホルモンの分泌が抑えられる可能性があります。ファストフードばかりだったり炭水化物が多いなど偏りのある食事は改め、栄養バランスが良い食生活を心がけましょう。深い眠りを得るには理想の睡眠時間を知ることも大切深く眠るためには、自分に必要な睡眠時間を把握することもポイントです。睡眠時間が短い場合や睡眠が不規則だと、深い睡眠が得られない可能性が高くなります。慢性的な睡眠不足は心身に支障をきたす「睡眠負債」になるので注意が必要です。成人の場合、7時間〜9時間の睡眠が必要と言われています。しかし、6時間以下でもエネルギッシュに過ごせるショートスリーパーや、10時間以上の睡眠が必要なロングスリーパーもいるように、適切な睡眠時間は人によって異なります。アプリで睡眠時間や睡眠パターンを可視化し、日中の体調と照らし合わせて調子が良いときの睡眠時間を把握するとよいでしょう。深い眠りにつく方法寝る前3時間は食事を控える食べ物の消化には2時間〜3時間が必要です。体は消化が必要だと休むことより消化活動を優先するため、食事は、寝る3時間前までに済ませることを心がけましょう。消化活動が活発になると、眠りが浅くなり睡眠の質が悪くなる可能性があります。消化にエネルギーを使う高タンパク質の食事は、寝る前は避けることをおすすめします。また、飲み物にも気をつけてください。特にカフェインは意識をはっきりさせて目覚めさせる働きがあるため、寝る前に摂ると睡眠に影響します。昼間は太陽の光を浴びる太陽光は体が自然に眠ろうとするサイクル、すなわち体内時計をリセットする役割を持っているため、昼間は意識的に太陽光を浴びましょう。よく眠るには、朝目が覚めて、夜眠くなるという体内時計のリズムを保つことが大切です。太陽の光を浴びると、体内時計は昼間を認識でき夜は活動を抑えるようになり、体内時計のリズムがリセットされます。室内環境と寝具を整える暗闇は睡眠を促すホルモン「メラトニン」の分泌を高めます。私たちは瞼越しにも光を認識するため、眠るときは室内の明かりを消して暗闇を作るようにします。また、部屋の温度や湿度も快適に保ちましょう。体と寝具の間にできる空間は、温度は33℃±1℃前後、湿度は50%±5%程度が理想的と言われています。寒すぎると目を覚ましやすく、暑すぎても眠りが浅くなりますので、エアコンや加湿器を使って快適な空間を心がけましょう。寝具は保温性・吸湿性・放湿性があり、体をしっかり支えつつも、柔らかすぎず硬すぎない寝具がおすすめです。寝心地が良いと睡眠の質も高まります。深い眠りがもたらすのはパフォーマンスの最大化深い眠りをとることには以下のようなメリットがあります。朝の目覚めが良く疲れにくくなり日中眠気を感じにくくなる仕事の作業能力や集中力、記憶力や思考力がアップする体内のホルモンのバランスが保たれ体調が整いやすくなる肥満や高血圧、メタボリックシンドロームといった生活習慣病を予防できるうつ病を予防しこころの健康も維持できる人は、眠っている間に身体の1日の疲れを取り除くだけでなく、新しい情報を記憶に蓄えるための準備をしています。よく眠れると、身体的な能力だけでなく精神的な安定や健康の維持ができ、日常生活の成果の向上が期待できます。体力や気力が最大限に引き出され、新しい情報やスキルを効率的に習得できるため、仕事で成果が得られやすくなるでしょう。よく眠れたかどうかアプリのデータとともに睡眠を振り返ることで、睡眠の質の向上を目指してみましょう。より丁寧にそして専門的に睡眠を分析したい場合は、睡眠を専門とするクリニックで相談するのもおすすめです。一人ひとりにあったアドバイスを受けられるため効率的に睡眠を改善できます。参考資料:快眠のススメ!毎日生き生きと働くための睡眠改善法 ~1日の過ごし方のポイント~