柳沢正史教授監修・自宅で取り組める睡眠改善サービス「SOMNO+」はこちら関連記事:睡眠を改善しませんか?質の高い眠りを手に入れる方法睡眠の重要性に厚生労働省も注目!日本人の睡眠時間が短いことは国内外で知られています。2021年に行われた経済協力開発機構(OECD)の調査で、日本人の睡眠時間は7時間22分と加盟国33ヶ国のなかでもっとも短いと報告されました。さらに国が行った調査では、国民の約4割の人は睡眠時間が6時間未満と回答しています。睡眠によって休めた感覚が得られることは、適切な睡眠の目安です。しかし、国の調査では睡眠で休養がとれていない人の割合が20%程度と報告されています。適切な睡眠が得られないと、注意力や記憶力の低下から、うつ病や生活習慣病の発症リスクの増加まで、さまざまな健康問題を引き起こすことが分かっています。そのため厚生労働省は「健康づくりのための睡眠指針2014」を改訂し、「健康づくりのための睡眠ガイド2023」を策定するなど国を上げて睡眠改善に取り組んでいるのです。関連記事:ウェルビーイングには睡眠改善が有効! ウェルビーイング経営のメリットや注意点も紹介睡眠を深くするための7つの方法睡眠を改善するために、日常生活で取り組めることを7つ紹介します。1. 朝起きたら太陽の光を浴びる朝日を浴びることは、体内時計を調整し、夜に深い睡眠を得ることにつながります。人間の体内時計の周期は24時間より長いため、毎日整える必要があります。体内時計をリセットするには、太陽の光がもっとも有効です。太陽の光を浴びると、眠りを誘うホルモンのメラトニンの分泌が止まります。メラトニンは分泌がとまってから14〜16時間後に再び分泌が始まり、睡眠を促す働きがあるのです。2. 適度な運動を行う適度な運動を行うと、睡眠の必要性が高くなるため、寝つきが良くなり深い睡眠が得られます。1回きりの運動では質の高い睡眠への効果は薄いため、習慣的に運動を行う方が良いです。深い睡眠を得るための運動は、ジョギングやウォーキングなどの有酸素運動をおすすめします。1回30分程度を目安に行いましょう。運動は、夕方から就寝3時間前までに行うと睡眠の質が上がります。就寝直前では神経が興奮してしまい逆効果です。3. 夕食は就寝3時間前までに済ませる夕食は、就寝3時間前までに済ませましょう。食後3時間ほど経つと副交感神経が優位になるため、寝つきがよくなり深い睡眠が得られます。就寝直前に夕食をとると、寝ている間も食べ物の消化活動が続くため、睡眠が浅くなり睡眠の質が下がります。4. 入浴から1~2時間後に就寝入浴時間を活かして体温を上げると、深い睡眠が得られます。体温と睡眠には深いかかわりがあり、日中は体温が高く就寝時間が近くなると深部体温が下がるため、眠りを誘うようになるのです。入浴してから1~2時間後に就寝すると、寝つきが良くなり深い睡眠が得られます。湯温にも注意しましょう。湯温が熱いと、神経が興奮して血圧が上昇するため、睡眠の質が下がります。ぬるめの38~40度が効果的です。5. 就寝1~2時間前からスマートフォン操作を控えるスマートフォンの操作は、就寝1~2時間前から控えましょう。スマートフォンから発するブルーライトは光の刺激が強いため、脳が昼間だと勘違いしてしまい、睡眠を促すホルモンのメラトニンの分泌が抑えられるのです。メラトニンの分泌が少なくなると、寝つきが悪くなり睡眠の質が下がることが分かっています。6. 就寝前のカフェイン・アルコールを控えるカフェインには、覚醒作用と利尿作用があります。就寝前にカフェイン入りの飲食物をとると、寝つきが悪くなったり睡眠が浅くなったりします。また、夜中にトイレで目が覚める原因にもなるのです。カフェインは体内で効果が弱くなるまでに4時間前後かかるため、夕方以降にカフェイン入りの飲み物は控えるようにしましょう。アルコール摂取は寝つきを良くしますが、深い眠りの時間を短縮し、睡眠の質を下げることが分かっています。アルコールを分解するのに3時間前後かかるため、就寝3時間前までには飲酒を切り上げるようにしましょう。7. 寝室の環境を整える寝室の明るさや温度は、睡眠の質を左右します。部屋が暑すぎても寒すぎても睡眠の質が下がるため、エアコンを利用して室温を調整しましょう。夏場は28℃前後、冬場は16〜20℃が適しています。寝室の明かりは、光の刺激の少ない電球色がおすすめです。蛍光灯は刺激が強いため、メラトニンの分泌を抑えてしまい睡眠の質が下がります。また、照明の光が直接目に入ると刺激で脳が起きてしまうため、間接照明を選びましょう。睡眠の質アップに役立つグッズや飲み物睡眠の質を上げるのに役立つグッズや飲み物を、それぞれ2つずつ紹介します。アロマオイルアロマオイルの香りは鼻でキャッチされた後、香りの情報は嗅神経を通して脳に伝えられます。睡眠を助ける効果を期待されているのは、ラベンダーとオレンジです。ラベンダーの香りを吸入すると、睡眠時間と睡眠効率が改善することが報告されています。オレンジの香りを使った研究では、就寝10分前から翌朝まで香りを嗅ぎながら過ごすと、就寝前はリラックスして、翌朝は覚醒度が上がりすっきり目覚めることが示されています。アイマスクわずかな光の刺激で目が覚めたり、眠れなくなってしまう人は、アイマスクがおすすめです。英カーディフ大学の研究によると、アイマスクをして眠ると深い睡眠が増加し、記憶力や集中力が向上すると報告されています。ホットミルク就寝前にホットミルクを飲むと、深い睡眠を得やすくなります。牛乳に含まれるカルシウムには、自律神経の働きを整える働きがあるため、入眠しやすくなります。甘酒甘酒には酒粕と米麹の2種類ありますが、質の高い睡眠を得るには酒粕がおすすめです。酒粕に含まれるアデノシンには、脳内で睡眠に導く働きがあります。睡眠を深くするには生活習慣と睡眠環境の改善が大切!睡眠を深くするためには、体内時計を整えることが重要です。体内時計のリズムが乱れないように、生活習慣や寝室の環境を見直しましょう。睡眠に役立つグッズや飲み物を活用するのも有効です。NTT PARAVITA「ねむりの応援団」では、睡眠改善の総合サポートサービスを提供しています。睡眠トラブルを抱えている従業員の健康を守るために、専門サービスの利用を検討してみてはいかがでしょうか。参考資料:「ねむりの応援団」サービス資料参考文献・快眠と生活習慣 | e-ヘルスネット(厚生労働省)・室温と高血圧、睡眠の関係 - e-健康づくりネット(厚生労働省)・温度、湿度と睡眠 | NCNP病院 国立精神・神経医療研究センター・カフェインと睡眠 | NCNP病院 国立精神・神経医療研究センター・睡眠健康を保つために(国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所 睡眠・覚醒障害研究部)・Ishizawa et al. Effects of pre-bedtime blue-light exposure on ratio of deep sleep in healthy young men. Sleep Med. 2021;84:303-307.・アルコールの作用 | e-ヘルスネット(厚生労働省)・正しいお酒との付き合い方|独立行政法人国立病院機構久里浜医療センター・Module 2. The Color of the Light Affects Circadian Rhythms | NIOSH | CDC・物井則幸.佐野朋美.清酒酵母による睡眠の質改善作用と機能性表示食品への応用.オレオサイエンス.第19巻第7号,(2019),291-297・アロマサイエンス研究所 | 睡眠時の歯ぎしりに精油が与える影響|公益社団法人 日本アロマ環境協会・アロマサイエンス研究所 | オレンジ・スイート精油がもたらす就眠前不安への生理的影響|公益社団法人 日本アロマ環境協会・Viviana Greco.Wearing an eye mask during overnight sleep improves episodic learning and alertness.Sleep.2023 Mar 9;46(3):zsac305.