柳沢正史教授監修・自宅で取り組める睡眠改善サービス「SOMNO+」はこちら睡眠の質が低下することによる悪影響とは睡眠の質が低下すると、さまざまな体調不良が起こります。なかでも仕事に支障が出る可能性がある点を3つ挙げます。関連記事:睡眠不足が与える影響とは?企業力が低下する大きな原因の可能性もメンタルヘルスの不調を起こしやすくなる睡眠で十分に休養できないと、脳が溜まった情報を整理することができず、抑うつ症状や感情の不安定を起こしやすくなります。また睡眠の質が低下すると、ストレスに対応する「コルチゾール」の分泌が不安定になるため、感情のコントロールが効かなくなります。集中力や記憶力が低下する睡眠が十分にとれないと、脳の老廃物が排出できず機能が低下するため、集中力や判断力が低下してミスが増えます。睡眠には、経験や知識を定着させる働きがあります。睡眠の質が低下すると、ノンレム睡眠とレム睡眠のバランスが乱れることで、経験や知識を定着させたり記憶を整理することができなくなるのです。肥満や生活習慣病になるリスクが上がる睡眠の質が下がると、食欲をコントロールする2つのホルモンバランスが乱れるため、肥満や糖尿病のリスクが上昇します。睡眠で体の休息ができないと、交感神経の緊張による血管収縮が続いたり、活性酸素の過多による酸化ストレスが起きたりして、循環器疾患や脳血管疾患の発症リスクが上がるのです。睡眠ヨガで期待できる3つの効果ヨガを行うことで期待できる効果は3つあります。国内外の研究報告とともに解説します。睡眠時間と睡眠の質の改善ヨガと睡眠の関係について海外で行われた研究では、睡眠に悩みを抱えている人に8週間にわたり毎日ヨガを行ったところ、睡眠時間が5.4時間から6.0時間に増えたと報告されています。睡眠の質についても、5段階の主観的評価で2.7ポイントから3.0ポイントに向上することが示されました。自律神経の調整ヨガを行うと、脳内のGABA(γ-アミノ酪酸)の量が増えることがボストン大学の研究で報告されています。GABAには交感神経の興奮を鎮める働きがあり、リラックス効果が期待されているのです。ヨガを続けると、ストレスホルモンのコルチゾール量が減り、副交感神経が働くようになることが分かっています。副交感神経が優位になると、リンパ球が増えて免疫機能が上がるのです。日本国内の複数の研究で、ヨガを続けている人は免疫機能が高いことが報告されています。抑うつや気分の落ち込みの改善ヨガを続けると、血中のオキシトシン濃度が増えることが研究報告されています。オキシトシンには、ストレス緩和・自律神経の調整・不安の軽減などの働きがあるのです。国内外の研究で、ヨガを行うとストレスを軽減し、気分の落ち込みや不安感が改善することが報告されています。寝つきが悪い人に役立つヨガポーズ寝つきを改善するのに役立つヨガのポーズを紹介しますので、実践してみましょう。ヨガマットがないときは、バスタオルで代用できます。子どものポーズ背中を丸くした姿勢をとり、体をリラックスさせます。ポーズのやり方は以下のとおりです。正座になり、両手を肩幅に開いて、体の前へ伸ばす。息を吐きながら上半身を前方へ倒していき、額を床につける。胸の横にひざがくるように、ひざを少し開く。お尻をかかとにつけて浮かないようにする。数回ゆっくり呼吸をして、息を吸いながら上半身を起こしていく。シャバーサナ日本語で「しかばねのポーズ」の意味があり、深いリラックス効果があります。ポーズのやり方は以下のとおりです。仰向けになり、脚は肩幅より広めに開く。わきの下はこぶし1つ分あけて、両腕を体の横に伸ばし、手のひらは天井へ向ける。あごを軽く引いて目を閉じる。ゆっくり深呼吸しながら、全身の力を抜いていく。呼吸に意識を集中させて、無心の状態になる。ガス抜きのポーズ血行を良くすることで、老廃物を排出したりお通じを改善したりします。ポーズのやり方は以下のとおりです。仰向けになり、両ひざを曲げて抱える。肩から背中全体を床につけて、肩は床から離れないようにする。ひざは開かないようにする。息を吐きながら、両ひざを胸に引き寄せる。肩甲骨を床から浮かせて頭を持ち上げて、ひざと額を近づける姿勢をとる。そのまま数回呼吸をくり返す。頸椎を痛めている場合は、頭を持ち上げずに行いましょう。睡眠ヨガの効果を高めるコツとはヨガの効果をアップさせるコツを3つ紹介します。意識しながら取り組んでみましょう。呼吸法を意識して行うヨガは呼吸法が重要です。正しい呼吸法を行うことで、体内に多くの酸素を送ったり、生命エネルギーをコントロールしたりする目的があります。意識的にヨガの呼吸法を続けると、自律神経のバランスが整い、ヨガの効果を得やすくなります。無理なポーズをとらないヨガにはさまざまなポーズがありますが、体勢がつらいときは無理をしないようにしましょう。痛みが強いにもかかわらずポーズを続けると、関節や筋肉を痛める原因になります。ポーズを保つ時間についても、長すぎると筋肉や靱帯を酷使することになるため注意してください。つらいポーズを我慢し続けると、形に気をとられて呼吸を止めてしまう傾向があり、神経が興奮してしまいます。気持ちいいと感じるレベルでポーズをとるようにしましょう。継続して習慣化するリフレッシュを目的とする場合は、その日のうちに効果を感じられるでしょう。体の柔軟性や睡眠の質の改善には、実感できるまで時間がかかります。初めのうちは週1回でも良いため、定期的に続けることが大切です。ただし、体調が悪いときは無理せずお休みしましょう。寝る前にヨガを取り入れて睡眠の質を高めよう睡眠不足になったり睡眠の質が落ちたりすると、メンタル面の不調・集中力や注意力の低下が起こり、仕事の効率が悪化します。さらに生活習慣病などの発症リスクも上昇します。睡眠でしっかり休養をとるために、紹介したヨガなどのセルフケアを取り入れてみましょう。NTT PARAVITA「ねむりの応援団」では、従業員の睡眠改善のためにコンテンツ配信・睡眠計測・専門家のアドバイスといった総合的なサービスを提供しています。従業員の健康問題でお悩みがあるときは、専門のインストラクターによるサービスの利用を検討してみましょう。参考資料:「ねむりの応援団」サービス資料参考文献・健康づくりのための睡眠ガイド 2023(厚生労働省)・Science. 2019 Sep 20;365(6459):1308-1313・ストレスと脳 | 生物学科 | 東邦大学・成果情報 睡眠中の脳のリフレッシュ機構を解明|国立研究開発法人日本医療研究開発機構・Sleep: The Evolution of Sleep Medicine in Neurology (Part One)・Harvard Business Review. 2006. “Sleep Deficit: The Performance Killer”・健やかな眠りの意義 | e-ヘルスネット(厚生労働省)・古宮 昇, 谷口 弘一.ヨガの心理的効果についての調査研究.カウンセリング研究 44 (2), 110-117, 2011・ストレス関連疾患に対するヨガ利用ガイド 医療従事者用(第2版)・Sat Bir S. Khalsa, et al. Treatment of chronic primary sleep onset insomnia with Kundalini yoga: a randomized controlled trial with active sleep hygiene comparison. J Clin Sleep Med. 2021.・Streeter CC, et al. Effects of Yoga Versus Walking on Mood, Anxiety, and Brain GABA Levels: A Randomized Controlled MRS Study. The Journal of Alternative and Complementary Medicine 2010; 16(11):1145-1152.・Jayaram N, Varambally S, Behere RV, Venkatasubramanian G, Arasappa R, Christopher R, Gangadhar BN: Effect of yoga therapy on plasma oxytocin and facial emo on recogni on deficits in pa ents of schizophrenia. Indian J Psychiatry 2013;55:S409-413. ・Chong CS, Tsunaka M, Tsang HW, Chan EP, Cheung WM: Effects of yoga on stress management in healthy adults: A systema c review. Altern Ther Health Med 2011;17:32-38. ・Bussing A, Michalsen A, Khalsa SB, Telles S, Sherman KJ: Effects of yoga on mental and physical health: A short summary of reviews. Evid Based Complement Alternat Med 2012;2012:165410. ・二神 弘子,藤原 宏子.オキシトシンと心身の健康.心身健康科学 15 (1), 48-50, 2019・子供のポーズ(バーラーサナ)の効果とやり方を解説(Child's Pose)(チャイルドポーズ) | ヨガジャーナルオンライン・亡骸のポーズ(シャヴァーサナ)の効果とやり方を解説(Corpse Pose)(シャバーサナ/シャヴァアーサナ/シャバアーサナ/死体のポーズ/屍のポーズ) | ヨガジャーナルオンライン・ガス抜きのポーズ(パヴァナムクターサナ)の効果とやり方を解説(Wind Relieving Pose) | ヨガジャーナルオンライン・怪我をしないためには? | 認定特定非営利活動法人 日本ヨガ連盟・高齢者向けヨガの健康効果とは|公益財団法人長寿科学振興財団