柳沢正史教授監修・自宅で取り組める睡眠改善サービス「SOMNO+」はこちらスリープテック入門スリープテックはどういうものか、注目されている背景についてもわかりやすく解説します。 スリープテックとは何か?スリープテックとは、「Sleep(睡眠)」と「Technology(技術)」をかけ合わせた造語です。スリープテックには、次の2つの視点があります。睡眠改善を目指した商品やサービスを提供する科学的な方向から人の睡眠を分析して睡眠改善につなげるどちらもITやAIなどの技術を活用しています。スリープテックが注目される背景2021年に行われた経済協力開発機構(OECD)の調査で、日本人の睡眠時間は7時間22分と加盟国33ヶ国のなかでもっとも短いと報告されています。また、厚生労働省の国民健康・栄養調査において、1日の平均睡眠時間が6時間未満の者の割合は、男性は37.5%、女性は40.6%と公表されています。スリープテックが注目される理由には、気づかないうちに溜まった睡眠不足の影響で、心身の健康が損なわれる「睡眠負債」が背景にあるのです。2016年に米シンクタンク「ランド研究所」による試算では、睡眠負債による日本の経済損失が最大1380億ドル、日本円に換算すると約15兆円と報告されました。厚生労働省は睡眠不足を深刻な健康課題ととらえて「健康づくりのための睡眠ガイド2023」をまとめるなど、国を上げて睡眠改善に向けた取り組みを始めています。スリープテックの市場規模株式会社矢野経済研究所によると、2022年の国内スリープテック市場規模は60億円で、2023年は前年比175%の105億円になると予測しています。今後も成長が見込まれて、2025年の予測額は160億円に達するとしています。スリープテック参入企業は医療機器メーカーから、寝具・通信メーカーなどに加えて、大学発のスタートアップなど多岐にわたり、健康経営を目的とした法人向けサービスも拡大中です。市場が拡大している理由には、睡眠と健康や生産性との関係性を示す研究報告が複数寄せられ、睡眠の社会的関心が高いことが挙げられます。技術の飛躍的な進歩により、睡眠の計測精度や取得情報の質が向上し、多様な睡眠計測デバイスが登場していることからも、今後の市場拡大は続くと予測しています。スリープテック企業の製品とサービススリープテックは、センサー技術やAIを使い、睡眠の状態を計測・分析しています。どのような商品やサービスがあるか具体的にみていきましょう。スリープテック商品事例スリープテックは、さまざまな商品やサービスがあり、大きく分けると以下の3タイプにわけられます。ウェアラブル型スマートウォッチのような腕時計型・イヤホン型・コイン型など体に装着するデバイスを使用します。睡眠時に身につけることで、心拍数や深呼吸数を測定します。スマートフォンアプリと連動させて、睡眠の状態をチェックすることも可能です。スマートフォンアプリスマートフォンアプリでは、スマートフォンのマイクや加速度センサーを利用します。呼吸音や体の動きを測定して、睡眠の状態を自動で記録可能です。設定した起床時間に応じて、眠りの浅いレム睡眠のタイミングを見計らってアラームを鳴らす機能もあります。寝具型センサー付きのベッドやマットレスを使用し、寝返りや体温などを測定します。アプリと連動させることで睡眠状態を確認できるものや、受け取った睡眠データに応じて角度が変わるマットレスなどもあります。NTT PARAVITA「ねむりの応援団」NTT PARAVITA「ねむりの応援団」は、睡眠についての相談・コンテンツ配信・眠りやストレスチェックなどを行い、質の高い睡眠へ導くサービスを提供しております。希望する従業員は「ねむりの改善プログラム」への参加が可能です。ねむりの改善プログラムでは、布団やマットレスの下におくシート型の睡眠センサーを利用します。睡眠センサーで取得した睡眠データをもとに睡眠改善インストラクターが伴走して、ご自身の生活習慣に合わせた睡眠改善をサポートします。参考資料:「ねむりの応援団」サービス資料スリープテックを活用した健康経営企業が健康経営にスリープテックを導入するメリットや、成功に導くポイントを解説します。関連記事:健康経営とは?注目されている理由とメリット、 具体的な取り組みを紹介 スリープテックを導入するメリット企業がスリープテックを導入するメリットは、従業員が参加しやすい施策で業績向上につながることです。経済産業省のデータによると、プレゼンティーイズムによる年間損失額について、運動不足の約3万5千円、高血圧の約7万円などと比べて、睡眠不足は約33万円と圧倒的に高額です。早稲田大学と経済産業研究所が行った研究では、健康経営に睡眠施策を導入することで、時間管理・集中力・仕事の成果が向上したと報告されています。ほかにも睡眠を改善することにより、メンタルヘルスが向上したり、生活習慣病発症リスクの低下したりすることが、国内外の研究でわかっています。考慮するポイントスリープテックに関するサービスや商品は、さまざまな種類があり目覚ましく進歩しています。従業員が気軽に参加しやすいサービスや、使用しやすい商品を導入するのが成功の鍵となります。また、睡眠が改善したり仕事の成果が上がったりした様子を、従業員と企業が可視化できる仕組みになっていることも重要です。スリープテックを導入して従業員の睡眠改善に取り組もう!睡眠負債による企業のプレゼンティーズムによる損失額は、運動不足や高血圧などの損失額よりもはるかに高額です。企業が睡眠施策を取り入れると、メンタルヘルスや生産性が向上し、業績改善につながります。スリープテックに関するサービスや商品はさまざまあるため、従業員が利用しやすいものを活用すると良いです。従業員の睡眠改善サポートのために、スリープテックの導入を検討しましょう。関連記事:生産性向上の鍵!睡眠メリット5選参考文献:スリープテック市場に関する調査を実施(2023年)|株式会社矢野経済研究所企業の「健康経営」ガイドブック ~連携・協働による健康づくりのススメ~ (改訂第1版) 睡眠改善アプリを用いた健康経営施策が生産性に与えた影響: RCTに基づく検証(RIETI Discussion Paper Series 21-J-040)