睡眠が与える良い効果5選睡眠をきちんと取ると、仕事の生産性向上につながる良い効果が得られます。睡眠にどのような効果があるのか順番にみていきましょう。疲労回復睡眠のもっとも大きな役割は、昼間の活動による身体疲労から回復させることです。身体の疲労回復に、成長ホルモンが重要な働きをしています。成長ホルモンは、細胞を修復したり代謝調節をしたりする働きがあり、眠り始めから3時間程度のもっとも深い眠りの時間帯に多く分泌されます。そのため、睡眠前半に質の良い眠りを得られることが大切です。記憶力や集中力の向上睡眠には、その日に起きた出来事を記憶したり整理したりする働きがあります。日中に仕事で身につけた知識やスキルを定着させるのに睡眠は欠かせません。記憶を定着させるには深い眠りのノンレム睡眠が深くかかわり、記憶の整理には浅い眠りのレム睡眠がかかわっています。またレム睡眠には、脳の老廃物を排出させてリフレッシュさせる役割があり、次の日の集中力向上につながります。ストレス緩和メンタル面を安定させるのに睡眠は重要です。睡眠には、不必要な情報やネガティブな記憶を消し去る役割があります。また十分な睡眠を取っていると、ストレスホルモンの「コルチゾール」の働きが安定します。そのため仕事中にストレスを感じても、必要な量のコルチゾールが分泌されるため、心身がストレスに対応できるようになるのです。生活習慣病の予防生活習慣病の予防に、睡眠は不可欠です。睡眠は、食欲や血糖値をコントロールするホルモン分泌に深くかかわり、正しい睡眠習慣を続けることで、肥満や糖尿病のリスクが低下することが証明されています。十分な睡眠は生活習慣病を発症することを予防し、従業員が長く健康に働けるメリットがあります。免疫力の維持睡眠は免疫力の維持に深くかかわっています。睡眠の質を判定する基準の「睡眠効率」と免疫力の関係を調べた研究が行われ、睡眠効率の低い人は高い人と比べて、風邪にかかる可能性が5.5倍高いと報告されました。さらに睡眠不足になると、ウイルスやがん細胞を撃退する免疫細胞(ナチュラルキラー細胞)の活性が低下するという研究データもあります。質の良い睡眠を取ることは、免疫力が高まり健康な体を保つため、生産性の低下を防ぐことができるのです。睡眠は6時間取っていれば十分?厚生労働省は2023年12月に「健康づくりのための睡眠ガイド2023」をまとめ、成人は6時間以上の睡眠を取るように推奨しています。そのため、睡眠時間が6時間あれば問題ないだろうと思いがちですが、知らずしらずのうちに睡眠不足が蓄積されている可能性があるのです。2003年に発表された研究では、6時間睡眠が14日間続くと、2日間徹夜をしたときと同レベルの認知機能の低下が起きたと報告されています。適切な睡眠時間は個人差があるものの、わずかな睡眠不足が長引くと、脳の機能が低下してパフォーマンスに影響を及ぼします。睡眠の効果を高める方法とは睡眠の効果は、仕事のパフォーマンスにも影響を与えます。効果を十分得るために取り組めることは、適正な睡眠時間を知ることと、睡眠の質を上げることの2つに大別されます。それぞれ詳しくみていきましょう。適正な睡眠時間を調べる成人の標準的な睡眠時間は、25歳で約7時間、45歳で約6.5時間とされています。適正な睡眠時間は個人差があり、上記の時間より短く済む人もいれば、8時間以上必要な人もいるのです。睡眠の効果を得るために、自分に合った睡眠時間を調べてみましょう。手順は次のとおりです。1~2週間ほど一定の睡眠時間で過ごす。日中の眠気や仕事のパフォーマンスなどに影響がないかを確認する。初めに設定した睡眠時間で、日中の眠気や仕事に影響がなければ、それがその人の適正な睡眠時間となる。日中の眠気があったり仕事がはかどらなかったりする場合は、睡眠時間を延ばしてみる。再度1~2をくり返して、日中の眠気が起こらずに過ごせる睡眠時間を探す。睡眠の質を上げる睡眠時間のみならず、睡眠の質を上げることも効果を得るための大切なポイントです。寝室の照明・温度・音などの環境や、寝るときの服装は睡眠の質を直接左右します。タバコを吸うタイミングやカフェイン摂取の時間帯も、寝つきや眠りの深さに影響するのです。NTT PARAVITA「ねむりの応援団」では、相談やアドバイスなどの睡眠改善サポートを行い、正しい睡眠習慣へ導くお手伝いをしております。睡眠で困ったときは、専門家のサポートを受けることが睡眠改善の近道となります。まとめ:睡眠の効果を上げることが生産性向上の鍵!睡眠が与える良い効果は、次の5つです。疲労回復記憶力や集中力の向上ストレス緩和生活習慣病の予防免疫力の維持正しい睡眠習慣を続けることで、睡眠の効果が得られ、仕事のパフォーマンスアップにつながります。睡眠の効果を高めるには、適切な睡眠時間を取ることと、睡眠の質を上げることが重要です。睡眠が与える良い効果を利用して、企業の生産性向上につなげましょう。参考文献・ノンレム睡眠 | e-ヘルスネット(厚生労働省)・睡眠の可視化~良い睡眠とは~ | 国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センター National Center of Neurology and Psychiatry・Science. 2019 Sep 20;365(6459):1308-1313・Science. 2016: 352(6287): 812-6・Cell Reports, 36(7):109558.・Science. 2019 Sep 20;365(6459):1308-1313・ストレスホルモン「コルチゾール」の働きとは!? |健康管理検定 :文部科学省後援・Scand J Work Environ Health. 2011 Sep;37(5):411-7.・健やかな眠りの意義 | e-ヘルスネット(厚生労働省)・Cohen S, et al. Arch Intern Med. 2009;169:62-7・Michael Irwin, et al. Psychosom Med. 1994; 56: 493-498.・Van Dongen HP, et al. Sleep. 2003 Mar 15;26(2):117-26.・15分でわかる働く人の睡眠と健康|働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト こころの耳(厚生労働省)・知っているようで知らない睡眠のこと|e-健康づくりネット(厚生労働省)・レジデントノート 2013年5月号 Vol.15 No.3