参考資料:従業員のメンタルヘルスケア 企業が行うべき対策とは?メンタルヘルス対策が大切な理由仕事や職場で強いストレスを感じる労働者の割合は約58%といわれており、精神障害などの労災申請件数も増加傾向です。このことから、職場のメンタルヘルス対策は企業にとって重要な課題になっています。従業員のメンタルヘルス対策を怠ると、メンタルヘルス不調による休職者が増えやすくなり、休職者が発生することで以下のリスクやコスト増加が発生する可能性があります。労災・訴訟リスク人材流出リスク休職者コストの増加採用コストの増加前述したように労災申請件数は増加しており、不調者が損害賠償訴訟を起こすケースもあり、企業にとっては大きなリスクといえます。「労働政策研究・研修機構」が2013年に行った調査によると、休職者の退職率は42.3%と高い数字になっており、休職者の増加は優秀な人材の流出につながりかねません。従業員が休職すると、その人の業務の穴埋めを周囲の従業員で行うため、業務の調整や残業代、事務対応などで大きなコストがかかります。また、新たに求人を出すとなると、採用コストも増えるでしょう。上記のリスクやコスト増加を軽減するためには、従業員のメンタルヘルス不調を未然に防ぐことが大切です。そのためには、企業がしっかりと従業員のメンタルヘルス対策を講じなければならないといえます。企業のメンタルヘルス対策の全体像メンタルヘルス対策の取り組みは、「目的別3段階の予防策」と「実施主体別の4つのケア」があります。それぞれ見てみましょう。目的別3段階の予防策一次予防:メンタルヘルス不調を未然に防止する取り組み。(例:50名以上の事業場で義務化されているストレスチェックなど)二次予防:メンタルヘルス不調を早期発見し、適切な措置を行う取り組み。(例:メンタルヘルスに関する相談窓口の設置や産業医との面接指導など)三次予防:メンタルヘルス不調になった従業員の職場復帰支援などを行う取り組み。(例:休職者への精神的なフォローや職場復帰支援プログラムの導入など)実施主体別の4つのケアセルフケア:労働者自身による取り組みラインによるケア:管理監督者による取り組み事業場内産業保健スタッフ等によるケア:産業医や保健師などによる取り組み事業場資源によるケア:事業場外の機関や専門家による取り組み一次・二次・三次予防の3つの側面からメンタルヘルス対策を講じ、4つのケアが計画的かつ継続的に行われることが大切です。一次予防メンタルヘルス不調を未然に防止する取り組み。(例:50名以上の事業場で義務化されているストレスチェックなど)二次予防メンタルヘルス不調を早期発見し、適切な措置を行う取り組み。(例:メンタルヘルスに関する相談窓口の設置や産業医との面接指導など)企業のメンタルヘルス対策3事例大手家電販売企業による従業員の睡眠をサポートするメンタルヘルス対策ストレス軽減と高ストレス者の低減を目指して、睡眠改善をサポートする「ねむりの応援団」を導入した大手家電販売企業のメンタルヘルス対策例です。高ストレス者を対象に、睡眠に関する相談や睡眠に関するコンテンツ、シート型睡眠センサーによるデータ計測と分析、オンラインアドバイスなどを提供しました。するとサービス導入後に、不眠症の可能性が高いとされていた人の割合が93%から33%にダウンし、睡眠の質の向上も見られました。睡眠改善により、日中の活力の高まりやストレス低減につながるという結果になっています。▶︎ねむりの応援団 サービス資料IT系大企業による管理職サポートを中心としたメンタルヘルス対策2017年にグループとして健康宣言を公表し、メンタルヘルス疾患を重点課題としているIT系大企業のメンタルヘルス対策の例です。メンタルヘルス対策には、管理職員が主体となり従業員の健康管理に取り組む「ラインによるケア」を重要としながらも、管理職員は現場業務も担当しており、管理業務にまで十分手が回っていないことが課題でした。そこで、管理職の相談相手を兼ねたサポート体制を構築するため、管理職をフォローする「職場づくり支援スタッフ」を任命。支援スタッフは所属部門出身のシニア層を採用し、管理職員の相談役と現場業務をしながら現場の状況を報告する役割も担っています。都道府県教育委員会による事業場外の専門家を活用したメンタルヘルス対策ある都道府県の教育委員会は、限られた予算や人員の中で、外部資源を活用して有資格者や専門家による職場復帰支援のメンタルヘルス対策を講じています。共済組合関係の臨床心理士が、気軽に利用できる「復職準備講座」を実施。講座では、ストレスマネジメントや療養中の過ごし方、感情のコントロール方法などが学べます。講座受講者からは、「復職への自信につながった」「ストレス対処方法への理解が深まった」などの声が上がっているようです。まとめメンタルヘルス不調による休職者の増加は、人材流出や労災・訴訟のリスクやコストの増加につながるため、メンタルヘルス対策は企業にとって重要事項のひとつといえるでしょう。企業が実際行っているメンタルヘルス対策を参考にしながら、3段階の予防策と4つのケアを継続的に実施することで、メンタルヘルス不調者を未然に防ぎましょう。参考資料:健康づくり担当者は必ず知っておきたい! 見逃しがちな損失コストとは!?参考文献厚生労働省 「事業所におけるメンタルヘルス対策の取り組み事例集」