柳沢正史教授監修・自宅で取り組める睡眠改善サービス「SOMNO+」はこちら睡眠の構成先述したとおり、ヒトの睡眠は、REM(rapid eye movement:急速眼球運動)が生じるレム睡眠とREMが生じないノンレム睡眠から構成されています。また、ノンレム睡眠はさらに睡眠段階1~4に分けられています。ヒトは、眠るとまずノンレム睡眠に入り、一気に徐派睡眠(深い睡眠)へ移行します。約1時間経過すると徐々に眠りが浅くなり、眠りから約1時間半が経った頃レム睡眠へと移行します。このサイクルをひと晩の間に数回繰り返した後、目覚めるという経過を辿ります。徐派睡眠は睡眠前半、レム睡眠は睡眠後半に多いことも特徴の1つです。なお、レム睡眠は概ね90分周期で出現しますが、個人差があることはもちろん、同じ方でも季節や環境によって周期が変わると言われています。ノンレム睡眠ノンレム睡眠は、日中に酷使した脳を睡眠前半で集中的に冷却し、休養を取らせるという役割を担っており、脳を休める睡眠とも呼ばれています。ノンレム睡眠における徐波睡眠では成長ホルモンが多く分泌され、身体の成長やタンパク質の合成、脂肪分解の促進、糖代謝の調節、免疫機能の改善など、様々な作用が働きます。と言っても、「徐派睡眠は睡眠前半に多いから睡眠時間は短くても良い」というわけではありません。成人の血中成長ホルモン量が最も多くなる総睡眠時間は7時間前後と言われており、短ければその分泌量は減少してしまいます。レム睡眠レム睡眠は、骨格筋の緊張が著しく低下し、外部刺激に対する応答性も低下することなどから、身体を休める睡眠とも呼ばれています。レム睡眠中は身体の回復や情報の整理、学習の記憶促進などが行われており、鮮明でストーリー性の高い夢を見るという特徴を持っています。ここでご注意いただきたいことは、夢を見るからと言って「レム睡眠=浅い睡眠」ではないということです。確かに、レム睡眠中の脳波はノンレム睡眠における睡眠段階1(浅い睡眠)中の脳波と類似していますが、骨格筋の緊張や外部刺激に対する応答性などが低下していることから睡眠段階1とは別物であることが明らかであり、浅い睡眠とは言えません。ノンレム睡眠・レム睡眠どちらも性質が異なり、それぞれに重要な役割があるため、どちらの作用も働かせるためには睡眠時間を十分に確保することが重要となります。参考文献・基礎講座 睡眠改善学 第2版 P.19-22(2019,白川 修一郎ほか)・睡眠にいいこと超大全 P.136-37(2021,トキオ・ナレッジ)