柳沢正史教授監修・自宅で取り組める睡眠改善サービス「SOMNO+」はこちらなぜ睡眠が必要なの?睡眠が足りていない日の翌日は眠気が強いと感じる、どんなに頑張って起きていようと試みても何日間も寝ずにはいられない、 睡眠が人間にとって必要不可欠なことはみなさんが体感しているのではないでしょうか。1964年、アメリカの高校生ランディ・ガードナーが「眠らなかったらどうなるのか」を冬休みの自由研究で調べました。 ランディは264時間(11日間)の断眠を自ら行いギネス記録を樹立しました。 断眠3日目には吐き気、5日目には記憶の欠落が始まり、7日目には言語障害が認められました。 この研究から睡眠が不足すると脳・精神・運動の機能が低下し、生命の危機を招いてしまうことが身をもって証明されたのです。 現在では、健康に対する影響が大きいことから断眠の世界記録をギネスブックは認めていません。では動物ではどうなのでしょうか?1988年に行われたラットでの断眠実験では、ねむりを禁じられたラットは11〜32日間のうちに全滅してしまいました。なぜ生きるものにとって睡眠が必要なのか、なぜ眠るのかという仕組みはランディの実験から半世紀経っても実は解明されておりません。ただし睡眠をとらないことは非常に危険であることは間違いありません。なぜ眠くなるの? 眠りの仕組みには「サーカディアンリズム」と「アデノシン」の2つの要素が大きく関わっています。サーカディアンリズムある時間になると自然と眠くなり、ある時間になると自然と目が覚める、といった人が生まれながらにしてもっている身体リズムを「体内時計」と呼び、 その中で約24時間周期のものを「サーカディアンリズム(概日リズム)」と呼びます。アデノシン目が覚めるとアデノシンと呼ばれる神経伝達物質が脳に蓄積され始め、アデノシンが十分に蓄積されると眠りの欲求が高まります。この睡眠を引き起こす駆動力を「睡眠圧」と呼びます。 サーカディアンリズムとアデノシンの働きが睡眠と覚醒を司っているのです。夜になるとアデノシンが溜まり、サーカディアンリズムが弱まるといった2つの組み合わせで眠気が引き起こされるのです。また、睡眠をとるとアデノシンが消え、その代わりにサーガディアンリズムが強まり目が覚めます。 この2つが状況に応じて相互に関連しながら睡眠の質と量、タイミングを制御しています。ねむりの仕組みを活用しようお仕事帰りの電車でうとうとしたり、夕方以降居眠りしてしまう習慣がある方もいらっしゃるのではないでしょうか?先ほど、起きていると眠りの欲求が高まるとお伝えしましたが、夕方以降の居眠りは「睡眠圧」を下げ、 眠れる時間を遅くし、睡眠不足に繋がってしまいます。日頃の習慣を変えるのは難しいかもしれませんが、夕方のうたたねをお昼寝にシフトするなどねむりの仕組みを上手に活用してみてくださいね。なぜ眠くなるの? 補足眠気を司る物質はアデノシンだけではないとされています。アデノシンを受け取って次の反応につなげる「アデノシン受容体」を人為的になくしたマウスにも眠気が生じて寝てしまうことが実験で分かっています。 眠気をコントロールする仕組みの全貌は研究が進められている最中です。参考文献・マシュー・ウォーカー (2018) 睡眠こそ最強の解決策である・櫻井武(2022) 睡眠の大研究 しくみと役割をさぐろう・筑波大学生命環境学群生物学類 「つまらないと眠くなるのはなぜ?」https://cbs.biol.tsukuba.ac.jp/update/1087(閲覧日2023/08/23)・広島国際大学 田中秀樹監修冊子「学力・運動能力を伸ばす睡眠法・生活リズム健康法」